サマリー
世界経済は概ね5月以降、回復基調にあり、7-9月期のGDP成長率は4-6月期の急激な落ち込みから急反発したと推測される。ただし、日本や欧州の月次統計からは夏に回復ペースが鈍化したことが読み取れる。さらに、10月に入って欧州及び米国において新型コロナウイルスの新規感染者が急増し、先行きの不透明感が改めて強まっている。検査件数の増加により自覚症状のない若い世代の感染確認が増えたこと、治療に関する知見が蓄積されてきていることなどを背景に、死亡者数は3月、4月時点に比べてまだ多くはない。とはいえ感染抑制の対策強化が必須であり、各国は3月から4月のような全面的なロックダウンは回避しつつ、感染抑制効果をいかに高めるかに苦慮している。新型コロナウイルス感染の封じ込めに成功している中国の経済成長率は4-6月期に続いて7-9月期も前年比プラス成長となり、景気回復をリードしている。中国では「健康コード」を最大限に活用して成果を上げたが、同じような対策を欧米が取ることは難しい。感染第2波とどう付き合っていくか、感染抑制と経済活動継続の二兎を追うことができるのか、まだ正解は得られておらず、各国の試行錯誤が続くと見込まれる。
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