サマリー
◆【企業部門】2020年8月の輸出や生産は、国内外の経済活動の再開が進んだことなどから回復基調を維持した。輸出数量指数は前月比+10.5%と3ヶ月連続で上昇した。前月に大幅増加した米国向け自動車輸出が高水準を維持したほか、回復が遅れていたEU向けでは半導体等製造装置などが牽引した。鉱工業生産指数は同+1.0%と3ヶ月連続で上昇した。前月と同様に自動車工業が全体を押し上げた。第3次産業活動指数は同+0.8%と3ヶ月連続で上昇した。8月の高気温を背景に「小売業」や「電気・ガス・熱供給・水道業」などが押し上げた。
◆【家計部門】2020年8月の消費、雇用、賃金はまちまちの内容であった。天候不順の影響が剥落したこと等を背景に財消費が押し上げ、二人以上世帯の消費額は前月から1.7%増加した。一方、雇用・所得関連指標では、完全失業率が前月から0.1%pt上昇の3.0%であった。有効求人倍率は前月から0.04pt低下し、1.04倍となった。新規求人数は前月から2.5%増加したものの、宿泊業などの低操業度での事業活動を強いられている業種では減少した。現金給与総額は前年比▲1.1%であった。
◆【四半期指標】2020年9月短観によると、大企業製造業の業況判断DI(最近)は▲27%pt(前回差+7%pt)、大企業非製造業は▲12%pt(同+5%pt)といずれも前回調査から小幅に改善した。2020年度における全規模全産業の「設備投資計画(含む土地、ソフトウェアと研究開発投資額は含まない)」は前年度比▲2.7%へと下方修正された。新型感染症拡大の長期化が懸念される中で企業の慎重姿勢が強まり、設備投資計画の見直しが広がったとみられる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
「責任ある積極財政」下で進む長期金利上昇・円安の背景と財政・金融政策への示唆
「低水準の政策金利見通し」「供給制約下での財政拡張」が円安促進
2025年12月11日
-
2025年12月日銀短観予想
輸出不振や原材料高で製造業の業況判断DI(最近)は悪化を見込む
2025年12月10日
-
2025年7-9月期GDP(2次速報)
設備投資などが減少し、実質GDPは前期比年率▲2.3%に下方修正
2025年12月08日
最新のレポート・コラム
-
中国:来年も消費拡大を最優先だが前途多難
さらに強化した積極的な財政政策・適度に緩和的な金融政策を継続
2025年12月12日
-
「責任ある積極財政」下で進む長期金利上昇・円安の背景と財政・金融政策への示唆
「低水準の政策金利見通し」「供給制約下での財政拡張」が円安促進
2025年12月11日
-
FOMC 3会合連続で0.25%の利下げを決定
2026年は合計0.25%ptの利下げ予想も、不確定要素は多い
2025年12月11日
-
大和のクリプトナビ No.5 2025年10月以降のビットコイン急落の背景
ピークから最大35%下落。相場を支えた主体の買い鈍化等が背景か
2025年12月10日
-
12月金融政策決定会合の注目点
2025年12月12日
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
-
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
-
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日

