サマリー
◆9月短観では、大企業製造業の業況判断DI(最近)は▲27%pt(前回差+7%pt)、大企業非製造業では▲12%pt(同+5%pt)と、いずれも前回調査(6月)から改善した。社会経済活動が国内外で再開されたことに伴う需要の回復が企業の景況感を改善させた。ただし、足元では日本だけでなく欧米でも新型コロナウイルス感染が再拡大しており、経済は回復傾向にはあるもののコロナショック前の水準には戻っていない。そのため、製造業、非製造業ともに業況判断DIの上昇幅は限定的であった。
◆業況判断DI(先行き)は、大企業製造業が▲17%pt(今回差+10%pt)、大企業非製造業が▲11%pt(同+1%pt)とともに改善が見込まれる。引き続き一定の感染拡大防止策が実施される中、サービスの需要の回復が財と比べて鈍いことから、非製造業のDIの改善は小幅に留まった。
◆2020年度の設備投資計画(全規模全産業、含む土地、ソフトウェアと研究開発投資額は含まない)は前年度比▲2.7%と、前回調査(同▲0.8%)から下方修正され、コンセンサス(同▲1.6%)を下回った。9月調査時点の設備投資計画が前年度比でマイナスになるのは2010年度以来のことである。通常、9月短観の設備投資計画では中小企業を中心に上方修正されるという統計上のクセがある。しかしながら今回は中小企業非製造業以外では新型コロナウイルス感染拡大の影響を踏まえて設備投資計画の見直しが広がり、全規模の製造業・非製造業いずれも下方修正された。感染拡大の長期化が予想される中、企業の設備投資に対する慎重姿勢が強まったと考えられる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
ゼロクリックで完結する情報検索
AI検索サービスがもたらす情報発信戦略と収益モデルの新たな課題
2025年10月10日
-
2025年8月消費統計
サービス消費が強く、総じて見れば前月から小幅に増加
2025年10月07日
-
財政悪化が日本経済にもたらす影響とリスクの定量評価
成長力強化と財政健全化で将来の財政危機発生リスクの抑制を
2025年10月07日
最新のレポート・コラム
-
働く低所得者の負担を軽減する「社会保険料還付付き税額控除」の提案
追加財政負担なしで課税最低限(年収の壁)178万円達成も可能
2025年10月10日
-
ゼロクリックで完結する情報検索
AI検索サービスがもたらす情報発信戦略と収益モデルの新たな課題
2025年10月10日
-
「インパクトを考慮した投資」は「インパクト投資」か?
両者は別物だが、共にインパクトを生むことに変わりはない
2025年10月09日
-
一部の地域は企業関連で改善の兆し~物価高・海外動向・新政権の政策を注視
2025年10月 大和地域AI(地域愛)インデックス
2025年10月08日
-
政治不安が続くアジア新興国、脆弱な中間層に配慮した政策を
2025年10月10日
よく読まれているリサーチレポート
-
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
-
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日