サマリー
先進国では経済活動が徐々に正常化に向かい始めている。しかし米国の新型コロナウイルス新規感染者数が再度の増加に転じるなど、正常化の足取りは不確かなものにすぎない。景気の最悪期を越えたとしても、コロナショック前の経済活動水準を回復するには相当時間がかかるという見方がコンセンサスになっている。しかもそもそも、中南米、南アジア、さらに(実態把握は困難なものの恐らく)アフリカを中心に新興国での感染拡大は継続しており、世界全体で見れば収束にはほど遠い状況にある。感染拡大が続く限りロックダウン的措置の有無にかかわらず景気は下降せざるを得ない。一方、株式市場をはじめとする金融市場は「コロナバブル」と称されるほどの活況を見せている。この景気実態と市場とのデカップリングの背後に大胆な「金融緩和」があることは巷間言われる通りであろうが、もう一つのキーワードは「格差」であると思われる。景気停滞下の株高が格差を助長するのはもとより、同じく問題なのは、格差が拡大するからこそ(持たざる者の犠牲の上に)株高が持続するというメカニズムが働いてしまうことにある。とはいえ、それはあくまで付加価値の「分捕りあい」に誰が勝つかという問題だからおのずと限界はある。世界の付加価値創出能力が明白に劣化すれば、ゼロサムはどこかでマイナスサムに転化するからだ。その意味で、「弱者の一層の弱体化」は株高と格差拡大の循環を終わらせる候補の一つということになろう。新興国の感染拡大と景気悪化の度合いには、この観点からも注視していかなくてはならない。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
日本経済見通し:2020年6月
「リベンジ消費」の賞味期限 -警戒すべき二つの「財政の崖」-
2020年06月23日
-
米国経済見通し 高まる「8月リスク」
7月末に失業保険の増額期限到来も、追加支援法案の見通しは立たず
2020年06月23日
-
欧州経済見通し 内需の強化が課題
ロックダウンの段階的な解除が進行中
2020年06月24日
-
中国:ウィズコロナの中国経済見通し
1月~2月をボトムに緩やかな改善が続く。牽引役は投資>消費
2020年06月23日
同じカテゴリの最新レポート
-
CPIの2025年基準への改定による影響
コアCPIの前年比上昇率は0.0~▲0.3%pt程度の下方改定か
2026年07月16日
-
2026年5月機械受注
船電除く民需は前月の反動などで大幅に減少
2026年07月15日
-
骨太方針のポイント② ~「責任ある積極財政」の試金石は2030年代に
「財政ボーナス期」後を見据え「成長ありき」でない財政運営が必要
2026年07月15日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
-
ナフサ問題がもたらす日本経済の不安要素
物価上昇は避けられず、供給不足が生じればさらなる経済下押しも
2026年06月15日
-
第229回日本経済予測(改訂版)
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年06月08日
-
「成長投資ガイダンス」の解釈とその活用法
資本コストを上回る資本収益性の確保は価値創造(EP)の前提条件
2026年06月17日
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
ナフサ問題がもたらす日本経済の不安要素
物価上昇は避けられず、供給不足が生じればさらなる経済下押しも
2026年06月15日
第229回日本経済予測(改訂版)
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年06月08日
「成長投資ガイダンス」の解釈とその活用法
資本コストを上回る資本収益性の確保は価値創造(EP)の前提条件
2026年06月17日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日

