サマリー
先進国では経済活動が徐々に正常化に向かい始めている。しかし米国の新型コロナウイルス新規感染者数が再度の増加に転じるなど、正常化の足取りは不確かなものにすぎない。景気の最悪期を越えたとしても、コロナショック前の経済活動水準を回復するには相当時間がかかるという見方がコンセンサスになっている。しかもそもそも、中南米、南アジア、さらに(実態把握は困難なものの恐らく)アフリカを中心に新興国での感染拡大は継続しており、世界全体で見れば収束にはほど遠い状況にある。感染拡大が続く限りロックダウン的措置の有無にかかわらず景気は下降せざるを得ない。一方、株式市場をはじめとする金融市場は「コロナバブル」と称されるほどの活況を見せている。この景気実態と市場とのデカップリングの背後に大胆な「金融緩和」があることは巷間言われる通りであろうが、もう一つのキーワードは「格差」であると思われる。景気停滞下の株高が格差を助長するのはもとより、同じく問題なのは、格差が拡大するからこそ(持たざる者の犠牲の上に)株高が持続するというメカニズムが働いてしまうことにある。とはいえ、それはあくまで付加価値の「分捕りあい」に誰が勝つかという問題だからおのずと限界はある。世界の付加価値創出能力が明白に劣化すれば、ゼロサムはどこかでマイナスサムに転化するからだ。その意味で、「弱者の一層の弱体化」は株高と格差拡大の循環を終わらせる候補の一つということになろう。新興国の感染拡大と景気悪化の度合いには、この観点からも注視していかなくてはならない。
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