サマリー
◆4月7日、安倍首相は7都府県に対して緊急事態宣言を発令し、同日には過去最大規模の緊急経済対策が閣議決定された。これらを踏まえて日本経済見通しを改訂した。6月頃の感染収束を前提とすると、2020年の実質GDP成長率は▲4.5%の見込みである。2020年中の感染症の流行を前提にすると▲7.6%に落ち込む。日本経済はリーマン・ショック時を上回る打撃を受ける可能性がある。
◆緊急事態宣言が発令されても、欧米のように人々の行動が罰則付きで制限されることはない。それでも人々の感染拡大への危機意識が高まり、個人消費は一層抑制されると考えられる。緊急事態宣言による追加的な消費抑制額は1カ月間で1.4兆円程度(東京都では0.4兆円程度)と試算される。
◆短期収束を前提とする本稿の日本経済見通しは、緊急経済対策によって失業や倒産の増加が抑えられ、システミック・リスクが発現しないことが想定されている。実質GDPは2020年4-6月期までは前期比マイナス成長が続くものの、7-9月期からは2四半期連続で前期比年率10%近いプラス成長が見込まれる。こうしたV字回復を実現するためにも、緊急事態宣言をきっかけに感染防止の取り組みを官民で加速させる必要がある。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
消費データブック(2025/5/2号)
個社データ・業界統計・JCB消費NOWから消費動向を先取り
2025年05月02日
-
2025年1-3月期GDP(1次速報)予測 ~前期比年率+0.5%を予想
外需が下押しも内需は堅調/小幅ながら4四半期連続のプラス成長
2025年04月30日
-
2025年3月鉱工業生産
自動車工業や電気・情報通信機械工業など10業種が前月から低下
2025年04月30日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日