サマリー
◆5月の全国コアCPI(除く生鮮食品)は前年比+0.8%に減速したものの、市場コンセンサス(同+0.7%)を僅かに上回った。ただし、電気代の値下げが主要因であり、物価の基調には変化が見られない。
◆品目別の寄与度の変化を確認すると、「ルームエアコン」、「ガソリン」などが小幅に押し上げた一方、「電気代」、「宿泊料」、「外国パック旅行費」などは押し下げた。エネルギー関連項目の「ガソリン」と「電気代」が対照的な動きをしているのは、原油価格が各々の価格に反映されるまでのタイムラグの違いによるものである。ガソリンは2019年1月から5月にかけての原油高の影響が顕在化している一方で、電気代は2018年11月以降の原油価格の急落がようやく価格に反映され始め、4月に続いて5月も電力大手10社全社で値下げが行われた。
◆先行きの全国コアCPIは前年比0%台半ばで推移するとみている。直近の注目点として、6月にNTTドコモとKDDIが携帯電話通信料を条件付きで値下げしたことによるCPIへの影響が挙げられる。
◆特殊要因がコアCPI(前年比)に与える影響について、2019年10月に実施予定の消費増税は+1.3%pt、軽減税率制度は▲0.3%ptと見込んでいる。また、教育無償化については、幼児教育・保育の無償化が▲0.6%pt、高等教育無償化が▲0.1%ptとみている。さらに、CPIに採用されている携帯電話通信料が仮に2~4割低下すれば、コアCPI(同)は0.5%pt~1.0%pt程度下押しされる。
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