サマリー
米欧中央銀行のハト派化に加えて、中国景気の底入れ観測が、グローバル経済の先行きに対する不安を和らげ、世界的な株価の好調を後押ししている。実際、中国の1-3月期の成長率は4四半期ぶりに下げ止まった。ただし、中国経済の先行き、及びその世界経済との関係についてはいくつか注意しておくべき点がある。一つは、足下の中国経済が政策措置に支えられていることである。特に、インフラ投資は基本的に国内の国有企業を担い手とし、グローバルなサプライチェーンを通じて世界経済を刺激する効果は限定的と考えられる。中国の(再度の)投資依存的成長率底上げは、資源国などには朗報であろうが、先進国や周辺アジア諸国は交易条件の悪化に直面する可能性が高く、それを打ち消すだけのメリットを享受し得るかは、政策措置を起点として、中国の内需の好循環が実現するかに依存する。だが、これに関して確度の高いシナリオを描くことは現状困難であろう。また、景気の底入れが確認されれば、中国政府の政策的優先課題は、すぐさまデレバレッジに回帰するかもしれない。過重債務という荷物から解放されない限り、中国政府にとっても成長率は高ければ高いほど良いというものではないはずだ。中国が当面の世界経済の重石となる懸念が後退したことは素直に評価すべきだが、グローバルな波及効果と拡大の持続性は慎重に見極めていくことが求められよう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
日本経済見通し:2019年4月
「中国経済回復」の虚実/「逆イールド」が目前に迫るFRBの最終手段
2019年04月18日
-
米国経済見通し 通商政策に新たな火種
FRBの様子見姿勢は好材料、制裁関税でEUとの関係悪化懸念が台頭
2019年04月18日
-
欧州経済見通し 延長戦に入ったBrexit
外需見通しの不透明感は晴れず
2019年04月18日
-
中国経済見通し:景気減速に歯止め
いつもの「国進民退」で景気底入れ・反転へ
2019年04月18日
同じカテゴリの最新レポート
-
CPIの2025年基準への改定による影響
コアCPIの前年比上昇率は0.0~▲0.3%pt程度の下方改定か
2026年07月16日
-
2026年5月機械受注
船電除く民需は前月の反動などで大幅に減少
2026年07月15日
-
骨太方針のポイント② ~「責任ある積極財政」の試金石は2030年代に
「財政ボーナス期」後を見据え「成長ありき」でない財政運営が必要
2026年07月15日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
-
ナフサ問題がもたらす日本経済の不安要素
物価上昇は避けられず、供給不足が生じればさらなる経済下押しも
2026年06月15日
-
第229回日本経済予測(改訂版)
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年06月08日
-
「成長投資ガイダンス」の解釈とその活用法
資本コストを上回る資本収益性の確保は価値創造(EP)の前提条件
2026年06月17日
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
ナフサ問題がもたらす日本経済の不安要素
物価上昇は避けられず、供給不足が生じればさらなる経済下押しも
2026年06月15日
第229回日本経済予測(改訂版)
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年06月08日
「成長投資ガイダンス」の解釈とその活用法
資本コストを上回る資本収益性の確保は価値創造(EP)の前提条件
2026年06月17日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日

