欧州経済見通し 延長戦に入ったBrexit

外需見通しの不透明感は晴れず

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2019年04月18日

  • 山崎 加津子

サマリー

◆ユーロ圏経済は2018年半ば以降、景気減速が鮮明となったが、2019年に入って鉱工業生産、輸出、小売売上高に持ち直しの兆しが見られる。企業と消費者の景況感指数も総じて下げ止まりから小幅反発しているが、鉱工業部門の景況感だけはこの3月まで一貫して悪化している。外需見通しの不透明感が晴れていないためで、ユーロ圏がしばらく低成長を続けることを示唆していると考えられる。

◆外需の不透明要因の一つである英国のEU離脱(Brexit)は、その期限が3月29日から10月31日まで延期された。「合意なしの離脱」は当面回避されたものの、いつ、どのように離脱が実現するのか引き続き明確ではない。また、米中の通商交渉が長引く中、いよいよEUと米国の通商交渉が開始される可能性が高まっている。ただし、工業製品の関税引き下げを目指すとの目標とは裏腹に、EUと米国が関税引き上げ合戦に陥る懸念は消えていない。

◆英国でも2019年初めに鉱工業生産、輸出、小売売上高が拡大したが、これには「合意なしの離脱」に備えて在庫を積み増す動きが活発化した影響が大きいとみられ、4月以降はその反動が懸念される。政治の混乱がじわじわと景気に悪影響を及ぼしているが、それがいつまで続くのか見通せないことが最大の問題である。

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