サマリー
パウエルFRB議長が利上げ継続に慎重な姿勢を示したことをきっかけとして、金融市場の荒波はやや鎮まり、足元では世界的に株価も反発している。しかし、その持続性は慎重にみるべきだろう。既に、グローバル経済の焦点は、金利から景況感に移行している。中国では、高度成長から中速成長への移行をソフトランディングさせる上で重要な役割を果たしてきた家計消費が、これまでにない落ち込みを示している。米国でも企業の景況感が悪化し始めた。その一因は米中貿易戦争にあるとみられるのだが、自国景気の本格的な悪化を回避するためにも保護貿易主義は得策ではないという当然の理屈が必ずしも通用しない現在の米国政治のありようが、同国の政策と経済の先行きを著しく見通しにくくしている。企業の景況感の悪化がより深刻化したとき、それを食い止める上でFRBにできることはあまりない。そして、米中にダウンサイド・リスク満載の中、輸出依存度の高い欧州が立ち直りのきっかけをつかむことも困難であるようにみえる。IMFなどは世界経済見通しを下方修正しているが、各種の予測機関、そして金融市場が世界経済のダウンサイド・リスクを十分に織り込んでいない可能性があることは踏まえておくべきだろう。繰り返される下方修正と、その根拠となるネガティブサプライズが、金融市場を揺るがす状況がしばらく続く懸念がある。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
日本経済見通し:2019年1月
世界経済の拡大を終わらせるのは誰か?
2019年01月23日
-
米国経済見通し 政府閉鎖で高まるリスク
短期的には景気を下押し、債務上限を巡る意見対立にも注意が必要
2019年01月23日
-
欧州経済見通し 一段と悪化した景況感
出口の見えないBrexitの行方が重石に
2019年01月24日
-
中国:当たり前の成長率低下
2019年は6.2%程度の成長へ。米中協議の行方と全人代に注目
2019年01月23日
同じカテゴリの最新レポート
-
中東向け乗用車輸出の激減は日本経済のリスクとなるか
国内販売と他地域向け輸出が生産下支えも、代替ルート開拓が課題
2026年06月19日
-
2026年5月貿易統計
中東情勢の影響が継続し、貿易収支は赤字へ転換
2026年06月17日
-
2026年6月日銀短観予想
素材業種中心に業況悪化を予想/先行きは非製造業でも悪化を見込む
2026年06月17日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
-
コーポレートガバナンス・コードの改訂案が公表
本質的な取組みと丁寧なエクスプレインが期待される
2026年04月27日
-
第229回日本経済予測
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年05月25日
-
変革迫られる学校法人の資産運用
AOP対応は、少子化・インフレの荒波を乗り越えるための第一歩
2026年05月07日
-
日本経済見通し(2026年4月)
中東情勢緊迫による景気下振れリスク上昇で4月利上げは見送りか
2026年04月21日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
コーポレートガバナンス・コードの改訂案が公表
本質的な取組みと丁寧なエクスプレインが期待される
2026年04月27日
第229回日本経済予測
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年05月25日
変革迫られる学校法人の資産運用
AOP対応は、少子化・インフレの荒波を乗り越えるための第一歩
2026年05月07日
日本経済見通し(2026年4月)
中東情勢緊迫による景気下振れリスク上昇で4月利上げは見送りか
2026年04月21日

