サマリー
◆欧州では2018年末に景況感が一段と悪化した。ユーロ圏の企業景況感は米中の貿易摩擦の激化、新興国の景気減速を背景に2018年年初をピークに悪化傾向にあるが、年末には消費者信頼感も明確に悪化した。英国のEU離脱期限が迫る中で離脱の道筋がますます混沌としていることも景況感を悪化させたと考えられる。家計所得拡大と原油価格下落という消費の下支え要因はあるものの、ユーロ圏の成長率は2017年の+2.4%から減速傾向をたどると予想される。2018年の+1.8%(推計値)のあと、2019年と2020年は共に+1.4%成長を予想するが、景気下振れリスクが高まっていると考えられる。インフレ圧力は限定的で、消費者物価上昇率は2019年+1.5%、2020年+1.6%にとどまると予想される。ECBは2019年秋以降に政策金利の引き上げをもくろむが、企業と消費者の景況感が好転しない限り、利上げは2020年以降に持ち越しとなろう。
◆英国の企業と消費者の景況感は、2016年6月の国民投票でEU離脱が決まった直後には急速に悪化したが、その後は持ち直し、離脱交渉の渦中にあることが特段の悪影響を及ぼさないかにみえた。しかし、「合意なしの離脱」の可能性が高まった2018年末に景況感は明確に悪化し、英国景気の減速を示唆している。メイ首相がEUと合意した「離脱協定案」を英下院が2019年1月15日に大差で否決したことで、EU離脱の行方はますます混沌としてしまった。メイ首相、英国議会、そしてEUはいずれも「合意なしの離脱」を回避したいと考えており、3月29日の離脱期限が延長される可能性が高まっているが、時間切れとなるリスクも残る。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
1-3月期ユーロ圏GDP 市場予想に反して減速
かろうじてプラス成長も、原油高の悪影響本格化の前から成長停滞
2026年05月01日
-
欧州経済見通し 進む資源高対応
財政支援と企業による価格転嫁
2026年04月21日
-
欧州経済見通し 中東情勢が下振れリスクに
エネルギー価格上昇の影響は既に顕在化、金融政策はタカ派シフト
2026年03月24日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
-
いまさら人には聞けない 大量保有報告(5%ルール)のQ&A 【改訂版】
2024年金商法等改正法(2026年5月1日適用開始)を反映
2026年04月03日
-
検討進むガバナンス・コード改訂:2月案と4月案の相違点は
「解釈指針」は原則と一体という記述は削除。現預金への注目を避ける修文。
2026年04月10日
-
企業が意識すべきCGコード改訂案のインプリケーション
「金融資産」「実物資産」がコードに入った意味
2026年04月16日
-
日本経済見通し(2026年4月)
中東情勢緊迫による景気下振れリスク上昇で4月利上げは見送りか
2026年04月21日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
いまさら人には聞けない 大量保有報告(5%ルール)のQ&A 【改訂版】
2024年金商法等改正法(2026年5月1日適用開始)を反映
2026年04月03日
検討進むガバナンス・コード改訂:2月案と4月案の相違点は
「解釈指針」は原則と一体という記述は削除。現預金への注目を避ける修文。
2026年04月10日
企業が意識すべきCGコード改訂案のインプリケーション
「金融資産」「実物資産」がコードに入った意味
2026年04月16日
日本経済見通し(2026年4月)
中東情勢緊迫による景気下振れリスク上昇で4月利上げは見送りか
2026年04月21日

