サマリー
◆11月の生産指数は前月比▲1.1%と2ヶ月ぶりに低下したものの、コンセンサス(同▲1.5%)は上回った。10月は、9月自然災害の反動で大きく上振れしていたため、11月の低下はその反動とみられる。そこで9月・10月の平均と11月を比較すると、9月・10月平均比+0.3%と自然災害の影響を均して見れば、ほぼ横ばいであった。外需についても11月の輸出数量は生産と同様の動きであり、内外需ともに増勢が鈍化したようだ。なお、先行きを製造工業生産予測調査で見ると、12月の先行き試算値(生産計画のバイアスを補正した値、最頻値)は同▲0.7%であり、先行きの基調は強くはない。
◆業種別では、汎用・業務用機械工業や電気・情報通信機械工業などが低下した。品目別ではコンベヤ、セパレート形エアコンなどが低下に寄与した。汎用・業務用機械工業は高水準の生産を維持しているもののピークアウト感が見られる。電気・情報通信機械工業は2018年中頃から、低下傾向となっている。2018年に入り、外需を中心に電気機械工業に弱さが見られることが影響しているようだ。
◆出荷指数と在庫指数を見ると、出荷指数が前月比▲1.4%と低下した一方で、在庫指数は同+0.2%と単月で見れば若干弱さが見られる内容となった。10月は9月自然災害の影響が剥落し、大幅に出荷増・在庫減となっており、11月の出荷減・在庫増はこの反動とみられる。ただし生産と同様に9月、10月の自然災害などの影響を均して見れば、出荷指数が9月・10月平均比+0.2%、在庫指数が同▲0.4%である。出荷・在庫ともにほぼ横ばいとなっており、11月単月の結果だけで過度に悲観する必要はないだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
「責任ある積極財政」下で進む長期金利上昇・円安の背景と財政・金融政策への示唆
「低水準の政策金利見通し」「供給制約下での財政拡張」が円安促進
2025年12月11日
-
2025年12月日銀短観予想
輸出不振や原材料高で製造業の業況判断DI(最近)は悪化を見込む
2025年12月10日
-
2025年7-9月期GDP(2次速報)
設備投資などが減少し、実質GDPは前期比年率▲2.3%に下方修正
2025年12月08日
最新のレポート・コラム
-
中国:来年も消費拡大を最優先だが前途多難
さらに強化した積極的な財政政策・適度に緩和的な金融政策を継続
2025年12月12日
-
「責任ある積極財政」下で進む長期金利上昇・円安の背景と財政・金融政策への示唆
「低水準の政策金利見通し」「供給制約下での財政拡張」が円安促進
2025年12月11日
-
FOMC 3会合連続で0.25%の利下げを決定
2026年は合計0.25%ptの利下げ予想も、不確定要素は多い
2025年12月11日
-
大和のクリプトナビ No.5 2025年10月以降のビットコイン急落の背景
ピークから最大35%下落。相場を支えた主体の買い鈍化等が背景か
2025年12月10日
-
12月金融政策決定会合の注目点
2025年12月12日
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
-
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
-
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日

