サマリー
ペンス米副大統領の中国批判演説などを機に、米国の対中強硬姿勢は超党派・全米レベルのコンセンサスを得ているという見方が優勢になり、それが米中摩擦長期化必至という観測にもつながっている。しかし、米中摩擦には、民間ビジネスに対する中国政府の不当な介入等に対する米国の制裁、技術的・軍事的覇権争いなどとともに、トランプ政権の人気取り政策の一環という側面がある。所得格差が先鋭化する中、過半の家計が長期にわたって実質購買力の上昇に取り残されている米国にあっては、中国からの安価な輸入が米国の製造業を壊滅させた、といったレトリックが選挙戦略的に有効なのである。恐らくここに、米中摩擦に歯止めがかかる糸口がある。中国産品に対する関税引き上げがより大きな打撃を与えるのは、支出に占める(特に非裁量的な)財の比率が高い、まさに「取り残された」米国の中低所得層だからである。これらの層が「ノー」の声をあげれば、人気取り政策としての対中強硬策は機能しなくなる。もっともそれがトランプ政権の保護主義姿勢そのものを後退させるとは期待しないほうが良いかもしれない。むしろより広範な貿易相手国に対し、対米輸出の数量規制を強要するなど、戦線が拡大する懸念もある。先の中間選挙も、こうした懸念を鎮めるものとはならなかった。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
欧州経済見通し 着地点が見えないBrexit
離脱協定案は合意されたが、英国議会の承認は難関
2018年11月21日
-
中国:落ち込む消費と米中摩擦の行方
第一関門は米中首脳会談が開催されるのか否か
2018年11月21日
-
日本経済見通し:2018年11月
「日本経済減速・世界経済減速・米国一強」の本質と2019年の展望
2018年11月21日
-
米国経済見通し 高まる内外のリスク
成長鈍化は避けられないが、景気拡大は持続可能
2018年11月21日
同じカテゴリの最新レポート
-
CPIの2025年基準への改定による影響
コアCPIの前年比上昇率は0.0~▲0.3%pt程度の下方改定か
2026年07月16日
-
2026年5月機械受注
船電除く民需は前月の反動などで大幅に減少
2026年07月15日
-
骨太方針のポイント② ~「責任ある積極財政」の試金石は2030年代に
「財政ボーナス期」後を見据え「成長ありき」でない財政運営が必要
2026年07月15日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
-
ナフサ問題がもたらす日本経済の不安要素
物価上昇は避けられず、供給不足が生じればさらなる経済下押しも
2026年06月15日
-
第229回日本経済予測(改訂版)
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年06月08日
-
「成長投資ガイダンス」の解釈とその活用法
資本コストを上回る資本収益性の確保は価値創造(EP)の前提条件
2026年06月17日
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
ナフサ問題がもたらす日本経済の不安要素
物価上昇は避けられず、供給不足が生じればさらなる経済下押しも
2026年06月15日
第229回日本経済予測(改訂版)
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年06月08日
「成長投資ガイダンス」の解釈とその活用法
資本コストを上回る資本収益性の確保は価値創造(EP)の前提条件
2026年06月17日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日

