中国:落ち込む消費と米中摩擦の行方

第一関門は米中首脳会談が開催されるのか否か

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2018年11月21日

サマリー

◆中国のモノの消費は5月以降、明らかに変調をきたしている。中でも小売売上の13%程度を占める自動車販売が落ち込んでいる。米中貿易摩擦問題では5月下旬に米国による「ちゃぶ台返し」が行われ、米中貿易戦争の深刻化に伴う景気の先行き不透明感の増幅などから、裁量的な消費に対する意欲が低下した可能性がある。消費者信頼感指数は6月に急速に悪化し、その後も回復していない。

◆大和総研は2018年の中国の実質GDP成長率を6.6%程度(10月~12月は6.4%程度)、2019年は6.4%程度に緩やかに減速すると予想しているが、ここ数ヵ月の消費の落ち込みは警戒を要する。個人所得税減税による消費押し上げが不発に終われば、見通しの下方修正の必要も出てこよう。

◆当面の注目点は11月末に予定される米中首脳会談の行方である。第一関門は会談が開催されるのか否かである。(自らの)面子を重んじる中国では、何ら成果が期待できない首脳会談はありえない。逆にいえば、米中首脳会談が開催の運びとなれば、何らかの合意がなされる可能性が高いということである。少なくとも事態がこれ以上は悪化しないことをうかがわせる材料が出るだけでもセンチメントは改善しよう。

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