サマリー
◆ユーロ圏の7-9月期のGDP成長率は前期比+0.2%と5年半ぶりの低成長となった。EUの規制変更への対応が遅れた自動車生産の急減という一時的な落ち込みは解消しつつあるが、新興国の景気減速、米中の貿易摩擦の激化に加え、Brexitの難航と外需に関する不透明要因はなくなっていない。ユーロ圏の成長率は2017年の+2.4%から2018年+1.9%、2019年+1.5%と減速傾向をたどることになろう。もっとも、+1.5%成長はユーロ圏にとって潜在成長率並みの成長率と判断され、ECBは金融緩和の修正を予定通り進めると予想する。12月13日のECB金融政策理事会では、資産買取を12月末に停止すること、ただし償還分の再投資は継続してECBの資産規模は当面縮小させないこと、少なくとも2019年夏までは政策金利を据え置くことが確認されると見込まれる。
◆英国の7-9月期のGDP成長率は前期比+0.6%に加速し、7四半期ぶりの高い成長率となった。ただし、企業景況感は悪化傾向にあり、Brexitを巡る不透明感が一段と増していることがこれに拍車をかけることが懸念される。英国とEUの交渉担当者が合意した離脱協定案を、メイ政権は11月14日に承認した。しかし、保守党内及び閣外協力しているDUP(民主統一党)から批判が噴出しており、12月に見込まれる英国議会で承認を取り付けるのは非常に難しいと予想される。メイ首相は「合意なしの離脱」を回避するには、現在の離脱協定案を承認するしかないと説得を試みているが、Brexitの期限である2019年3月29日が迫る中、事態はますます混沌としてきた。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
2025年度税制改正大綱解説
大綱の公表で完結せず、法案の衆議院通過まで議論が続くか
2025年01月06日
-
2025年の中国経済見通し
注目点は①不動産不況の行方、②トランプ2.0 vs 内需拡大
2024年12月20日
-
石破政権の看板政策「2020年代に最低賃金1500円」は達成可能?
極めて達成困難な目標で、地方経済や中小企業に過重な負担の恐れ
2024年10月17日
-
岐路に立つ日本の人的資本形成
残業制限、転職市場の活発化、デジタル化が迫る教育・訓練の変革
2025年01月09日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
2025年度税制改正大綱解説
大綱の公表で完結せず、法案の衆議院通過まで議論が続くか
2025年01月06日
2025年の中国経済見通し
注目点は①不動産不況の行方、②トランプ2.0 vs 内需拡大
2024年12月20日
石破政権の看板政策「2020年代に最低賃金1500円」は達成可能?
極めて達成困難な目標で、地方経済や中小企業に過重な負担の恐れ
2024年10月17日
岐路に立つ日本の人的資本形成
残業制限、転職市場の活発化、デジタル化が迫る教育・訓練の変革
2025年01月09日