サマリー
このところの世界的な株価下落がドル金利の上昇を主因とするものであれば、長くは続かないだろう。より警戒すべきは、ドル金利の「下落」と株安との併存である。ドル金利の上昇は、米国経済の強さという裏付けを持ったものであり、それが失われた時、世界経済は米国独り勝ちから、けん引役不在の状況に移行する。株安の要因が金利から世界的な景況感の悪化に変化するのである。その際には、為替市場の最強通貨がドルから円(およびスイス・フラン)に代わると考えられるが、現状、円高圧力はさほど高くない。ドルの強さは健在であるようにみえる。米国景気への楽観が崩れつつあるわけでは恐らくなく、局面転換への時間的猶予はまだあろう。ただ、循環的な成熟化が進んだ米国が世界経済のけん引力を一層高めていくというシナリオはないものねだりに他ならず、いち早く減速過程に入った中国やユーロ圏が米国にとって代わる見込みも立ちにくい。米中貿易戦争の生産効率阻害効果、需要抑制効果などが顕在化するにつれ、世界経済けん引役不在局面の到来の蓋然性は増してくる。金融市場は近くしばしの小康を得ると考えたいが、中期的には警戒を要する局面が続くとみざるを得ないだろう。
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