2018年6月鉱工業生産

コンセンサスを大きく下回り、前月比▲2.1%

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2018年07月31日

  • 経済調査部 研究員 廣野 洋太
  • 小林 俊介

サマリー

◆6月の生産指数は前月比▲2.1%となり、2ヶ月連続で低下し、コンセンサス(同▲0.3%)も下回った。一方、4-6月期の生産は前期比+1.2%となり、1-3月期(同▲1.3%)から増産へと転換した。また先行きは、製造工業生産予測調査で見ると、7月:前月比+2.7%、8月:同+3.8%となっている。なお、7月の先行き試算値(生産計画のバイアスを補正した値)は同+0.2%であり、わずかにプラス推移となる可能性が高い。

◆業種別では、はん用・生産用・業務用機械工業や化学工業(除.医薬品)が減少した。品目別では半導体製造装置などが減少に寄与した。半導体製造装置は6月輸出においても減少しており、外需の弱さが影響したものとみられる。はん用・生産用・業務用機械工業は、高水準が続いているものの、在庫も減少しており、先行き不透明感から在庫調整をしている可能性がある。また、化学工業(除.医薬品)においては、化学製品の6月輸出は前年比プラス幅を縮小しているがその幅は小さく、内需の減少も影響したものとみられる。

◆7月以降に関しては、非常に緩やかな増産を見込んでいる。国内向けの設備投資と輸出の拡大基調が、生産を押し上げるであろう。ただし外需には下振れリスクがある。足下では米国が保護主義的政策を押し進める一方、各国も対抗措置を取り始めており、世界貿易の停滞には注意が必要である。

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