サマリー
◆4月の生産指数は前月比+0.3%となり、3ヶ月連続で上昇したものの、コンセンサス(同+1.4%)を下回った。製造工業生産予測調査で見ると、5月:同+0.3%、6月:同▲0.8%となっており、これを基にすると4-6月期は前期比+1.8%の着地となる。ただし、5月の先行き試算値(生産計画のバイアスを補正した値)は前月比▲1.3%(最頻値)であり、5・6月はマイナス推移となる可能性が高い(5月:同▲1.3%、6月:同▲0.8%の場合でも、4-6月期は前期比+0.7%)。
◆業種別では、輸送機械工業やはん用・生産用・業務用機械工業が上昇した。輸送機械工業は、国内の新車販売の弱含み等を背景に、先行きの見込みが弱い(5月:同▲7.0%、6月:同+0.8%)。また、はん用・生産用・業務用機械工業も実現率が大きくマイナスであり、生産能力による供給制約が出ている可能性がある。
◆7月以降に関しては、非常に緩やかな増産を見込んでいる。資本財輸出や国内向けの設備投資は、堅調さを保つであろう。一方、2017年の牽引役であった5品目(①半導体・半導体部品、②半導体製造装置、③工作機械・産業用ロボット、④自動車、⑤化粧品)は、ペースが減速するものの、2018年も鉱工業生産に対してプラスに寄与するとみている。ただし、外需の下振れリスクには警戒が必要である。米国の保護主義的な政策とそれに伴う各国の対抗措置により、通商摩擦が激化する場合には、世界貿易の停滞へと繋がる。特に、中国経済の弱含みは日本の生産を下押しする可能性が高い。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年3月雇用統計
失業率は上昇するも、求人倍率が上昇するなど雇用環境は悪くない
2025年05月02日
-
消費データブック(2025/5/2号)
個社データ・業界統計・JCB消費NOWから消費動向を先取り
2025年05月02日
-
2025年1-3月期GDP(1次速報)予測 ~前期比年率+0.5%を予想
外需が下押しも内需は堅調/小幅ながら4四半期連続のプラス成長
2025年04月30日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日