2018年4月鉱工業生産

4-6月期では増産に転じるが、5・6月はマイナス推移となる見込み

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2018年05月31日

  • 前田 和馬
  • 小林 俊介

サマリー

◆4月の生産指数は前月比+0.3%となり、3ヶ月連続で上昇したものの、コンセンサス(同+1.4%)を下回った。製造工業生産予測調査で見ると、5月:同+0.3%、6月:同▲0.8%となっており、これを基にすると4-6月期は前期比+1.8%の着地となる。ただし、5月の先行き試算値(生産計画のバイアスを補正した値)は前月比▲1.3%(最頻値)であり、5・6月はマイナス推移となる可能性が高い(5月:同▲1.3%、6月:同▲0.8%の場合でも、4-6月期は前期比+0.7%)。

◆業種別では、輸送機械工業やはん用・生産用・業務用機械工業が上昇した。輸送機械工業は、国内の新車販売の弱含み等を背景に、先行きの見込みが弱い(5月:同▲7.0%、6月:同+0.8%)。また、はん用・生産用・業務用機械工業も実現率が大きくマイナスであり、生産能力による供給制約が出ている可能性がある。

◆7月以降に関しては、非常に緩やかな増産を見込んでいる。資本財輸出や国内向けの設備投資は、堅調さを保つであろう。一方、2017年の牽引役であった5品目(①半導体・半導体部品、②半導体製造装置、③工作機械・産業用ロボット、④自動車、⑤化粧品)は、ペースが減速するものの、2018年も鉱工業生産に対してプラスに寄与するとみている。ただし、外需の下振れリスクには警戒が必要である。米国の保護主義的な政策とそれに伴う各国の対抗措置により、通商摩擦が激化する場合には、世界貿易の停滞へと繋がる。特に、中国経済の弱含みは日本の生産を下押しする可能性が高い。

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