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2018年2月全国消費者物価

物価上昇が家計の実質購買力を押し下げ

2018年03月23日

金融調査部 主任研究員 長内 智

小林 俊介

サマリー

◆2018年2月の全国コアCPI(除く生鮮食品)は前年比+1.0%と14ヶ月連続のプラスとなり、市場コンセンサス(同+1.0%)通りとなった。季節調整値によって指数の基調的な動きを確認すると、全国コアCPIと全国新コアコアCPI(生鮮食品及びエネルギーを除く総合)はいずれも緩やかに上昇していると評価できる。

◆先行きの全国コアCPIの前年比は、前年に下落していた裏の影響が剥落することでいったん鈍化する見込みである。ただし、その後は、エネルギー以外の価格が底堅く推移するなか、原油価格が2017年6月を底に大きく上昇している影響がラグを伴って顕在化し、再びプラス幅を拡大するとみている。当面の焦点は、原油価格の動向に加え、食料品、外食、運輸関連で着々と顕在化し始めているコストプッシュ・インフレの影響だ。

◆家計の直面する物価動向を確認すると、足下で前年比+1%を大きく超えており、家計の懐に響く水準まで上昇している。今後は、商品の値上げに起因する家計の節約志向の強まりと消費者マインドの悪化に加えて、物価上昇に伴う実質賃金の低下が個人消費を下押しするリスクに注意が必要であろう。なお、3月16日に公表された春闘の第1回回答集計の結果に基づくと、ベアの水準よりも家計の直面する物価上昇率の方が高く、2018年の一人当たり実質賃金は前年比マイナスとなる公算が生じている。

◆政府は、月例経済報告において、消費者物価の基調判断を2018年3月に「このところ緩やかに上昇している」と上方修正した。今後の焦点は、一部の市場関係者が指摘している政府の早期の「デフレ脱却宣言」となる。過去の上方修正後の事例や最近の国内政治の混乱を踏まえると、金融市場でこの話題が今後も断続的に浮上する可能性こそあれ、当面は政治的なメッセージの強いデフレ脱却宣言は行われないとみている。

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