サマリー
◆2018年2月の全国コアCPI(除く生鮮食品)は前年比+1.0%と14ヶ月連続のプラスとなり、市場コンセンサス(同+1.0%)通りとなった。季節調整値によって指数の基調的な動きを確認すると、全国コアCPIと全国新コアコアCPI(生鮮食品及びエネルギーを除く総合)はいずれも緩やかに上昇していると評価できる。
◆先行きの全国コアCPIの前年比は、前年に下落していた裏の影響が剥落することでいったん鈍化する見込みである。ただし、その後は、エネルギー以外の価格が底堅く推移するなか、原油価格が2017年6月を底に大きく上昇している影響がラグを伴って顕在化し、再びプラス幅を拡大するとみている。当面の焦点は、原油価格の動向に加え、食料品、外食、運輸関連で着々と顕在化し始めているコストプッシュ・インフレの影響だ。
◆家計の直面する物価動向を確認すると、足下で前年比+1%を大きく超えており、家計の懐に響く水準まで上昇している。今後は、商品の値上げに起因する家計の節約志向の強まりと消費者マインドの悪化に加えて、物価上昇に伴う実質賃金の低下が個人消費を下押しするリスクに注意が必要であろう。なお、3月16日に公表された春闘の第1回回答集計の結果に基づくと、ベアの水準よりも家計の直面する物価上昇率の方が高く、2018年の一人当たり実質賃金は前年比マイナスとなる公算が生じている。
◆政府は、月例経済報告において、消費者物価の基調判断を2018年3月に「このところ緩やかに上昇している」と上方修正した。今後の焦点は、一部の市場関係者が指摘している政府の早期の「デフレ脱却宣言」となる。過去の上方修正後の事例や最近の国内政治の混乱を踏まえると、金融市場でこの話題が今後も断続的に浮上する可能性こそあれ、当面は政治的なメッセージの強いデフレ脱却宣言は行われないとみている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
今暮らしているのは「デフレ脱却」後の世界?
2018年03月20日
-
原油高で消費者物価と家計のエネルギー負担額はどうなる?
低所得世帯ほど負担感が大きく、消費者マインドも下押しへ
2017年11月29日
-
2018年1月全国消費者物価
家計の直面する物価は1%を大きく超えて上昇
2018年02月23日
同じカテゴリの最新レポート
-
消費データブック(2026/8/5号)
個社データ・業界統計・JCB消費NOWから消費動向を先取り
2026年08月05日
-
2026年4-6月期GDP(1次速報)予測~前期比年率+2.9%を予想~
個人消費の増加と中東情勢による輸入の減少で3四半期連続プラス
2026年07月31日
-
2026年6月雇用統計
失業率は2.5%と前月から横ばい、就業者数は減少
2026年07月31日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
26年度最低賃金改定のポイント①
高市政権はより緩慢な引上げを容認/改定内容への説明責任が焦点
2026年07月09日
-
中国経済見通し:成長率目標に早くも黄信号
12.5%追加関税の影響は限定的だが、内需が急減速
2026年07月28日
-
令和9年度介護報酬改定に向けた注目点
改革工程に掲げられた重要論点の具体化が求められる
2026年06月29日
-
26年度最低賃金改定のポイント②
全国加重平均は1,160円台(4%前後の引き上げ)に着地か
2026年07月21日
-
骨太方針のポイント① ~危機管理投資・成長投資で高成長を実現できるか
米国を上回る生産性向上ペースが必要で成長戦略の進捗管理も課題
2026年07月13日
26年度最低賃金改定のポイント①
高市政権はより緩慢な引上げを容認/改定内容への説明責任が焦点
2026年07月09日
中国経済見通し:成長率目標に早くも黄信号
12.5%追加関税の影響は限定的だが、内需が急減速
2026年07月28日
令和9年度介護報酬改定に向けた注目点
改革工程に掲げられた重要論点の具体化が求められる
2026年06月29日
26年度最低賃金改定のポイント②
全国加重平均は1,160円台(4%前後の引き上げ)に着地か
2026年07月21日
骨太方針のポイント① ~危機管理投資・成長投資で高成長を実現できるか
米国を上回る生産性向上ペースが必要で成長戦略の進捗管理も課題
2026年07月13日

