サマリー
◆2018年1月の全国コアCPI(除く生鮮食品)は前年比+0.9%と13ヶ月連続のプラスとなり、市場コンセンサス(同+0.8%)を小幅に上回った。季節調整値によって指数の基調的な動きを確認すると、全国コアCPIと全国新コアコアCPI(生鮮食品及びエネルギーを除く総合)はいずれも緩やかに上昇していると評価できる。
◆先行きの全国コアCPIの前年比は、前年に下落していた裏の影響が剥落することでいったん鈍化する見込みである。ただし、その後は、エネルギー以外の価格が底堅く推移するなか、原油価格が2017年6月を底に大きく上昇している影響が顕在化し、再びプラス幅を拡大するとみている。また、これまでは、家計の節約志向を背景とする値下げの動きと、人手不足やコスト上昇に起因する値上げの動きが交錯してきたが、足下では値上げの動きの方が勢いを増しつつある。
◆政府や日銀が重視する指標(全国コアCPI、全国新コアコアCPIなど)に比べて、家計の直面する物価(全国総合や、全国帰属家賃を除く総合)が1%を大きく超えて上昇している影響には注意が必要だ。具体的には、商品の値上げに起因する家計の節約志向の強まりと消費者マインドの悪化に加えて、物価上昇に伴う実質賃金の低下が今後の個人消費を下押しするリスクとなる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
国内旅行消費、押し上げの鍵は「分散化」
国・自治体・企業の連携で旅行の時期を分散し費用減と混雑の緩和を
2025年07月11日
-
経済指標の要点(6/18~7/11発表統計分)
2025年07月11日
-
有効求人倍率の低迷は実態を表しているのか?
業務統計であるが故のデータの振れや集計対象の偏りに注意
2025年07月09日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
-
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日