2018年1月全国消費者物価

家計の直面する物価は1%を大きく超えて上昇

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2018年02月23日

  • 金融調査部 主任研究員 長内 智
  • 小林 俊介

サマリー

◆2018年1月の全国コアCPI(除く生鮮食品)は前年比+0.9%と13ヶ月連続のプラスとなり、市場コンセンサス(同+0.8%)を小幅に上回った。季節調整値によって指数の基調的な動きを確認すると、全国コアCPIと全国新コアコアCPI(生鮮食品及びエネルギーを除く総合)はいずれも緩やかに上昇していると評価できる。


◆先行きの全国コアCPIの前年比は、前年に下落していた裏の影響が剥落することでいったん鈍化する見込みである。ただし、その後は、エネルギー以外の価格が底堅く推移するなか、原油価格が2017年6月を底に大きく上昇している影響が顕在化し、再びプラス幅を拡大するとみている。また、これまでは、家計の節約志向を背景とする値下げの動きと、人手不足やコスト上昇に起因する値上げの動きが交錯してきたが、足下では値上げの動きの方が勢いを増しつつある。


◆政府や日銀が重視する指標(全国コアCPI、全国新コアコアCPIなど)に比べて、家計の直面する物価(全国総合や、全国帰属家賃を除く総合)が1%を大きく超えて上昇している影響には注意が必要だ。具体的には、商品の値上げに起因する家計の節約志向の強まりと消費者マインドの悪化に加えて、物価上昇に伴う実質賃金の低下が今後の個人消費を下押しするリスクとなる。

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