サマリー
◆2017年12月の企業関連の指標を見ると、鉱工業生産指数は、前月比+2.9%と3ヶ月連続で上昇した。他方、機械受注(船舶・電力を除く民需)は、同▲11.9%と3ヶ月ぶりに減少した。需要者別に見ると、製造業(同▲13.3%)、非製造業(船舶・電力を除く)(同▲7.3%)ともに大きく減少した。製造業の受注は、12月が大幅減となったことに加えて、1-3月期も前期比▲5.7%の見込みであり、ここまでの上昇基調に一服感が見られる。一方、減少傾向にある非製造業(船舶・電力を除く)は、1-3月期で同+7.4%とプラスに転じることを見込む。
◆2017年12月の家計調査によると、実質消費支出は季節調整済み前月比▲2.5%と2ヶ月ぶりに減少した。同指標は、2017年6月頃からほぼ横ばいの推移を続けていたが、足下では弱含んでいる。他方、12月の完全失業率(季節調整値)は前月から0.1%pt上昇し2.8%となった。また、有効求人倍率(季節調整値)は前月から0.03pt上昇し1.59倍、正社員の有効求人倍率(季節調整値)は前月から0.02pt上昇し1.07倍となった。
◆今後発表される経済指標では、2月28日発表予定の鉱工業生産指数に注目したい。なかでも、電子部品・デバイス工業の動向に注目している。2017年12月の鉱工業生産指数では、同業種は前月比+3.4%と増加し、増産基調が続いている。また、製造工業生産予測調査においても、1月以降の計画が強い(1月:同+4.8%、2月:同+13.5%)。しかし、この計画には新型iPhoneの1-3月期の生産計画変更の影響は反映されていない可能性が高い。2017年1-3月期のスマートフォンの世界生産台数と日本の電子部品・デバイスの用途向けシェアを踏まえると、新型iPhoneの生産が当初計画の4,000万台超から2,000万台へ半減した場合、電子部品・デバイス工業の生産は▲1.9%下押しされる可能性がある。
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