2017年7月全国消費者物価

節約志向が継続する中、スマホ通信料と小売業に値下げの芽

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2017年08月25日

  • 金融調査部 主任研究員 長内 智
  • 小林 俊介

サマリー

◆2017年7月の全国コアCPI(除く生鮮食品)は前年比+0.5%と7ヶ月連続のプラスとなり、市場コンセンサス(同+0.5%)通りの結果となった。財・サービス別(4分類)の寄与度の「変化」を見ると、エネルギーを含む「コア非耐久消費財(除く生鮮食品)」が押し上げ、「耐久消費財」と「サービス」が概ね横ばい、「半耐久消費財」が小幅に押し下げに寄与した。


◆2017年8月の東京都区部コアCPI(中旬速報値)は、前年比+0.4%(7月:同+0.2%)となった。「サービス」に関しては、大手通信会社の値下げを受けて、「通信料(携帯電話)」が一段と低下した点が注目される。低下傾向の続く同品目の動向には引き続き注視が必要だ。8月の東京都区部コアCPIの結果を踏まえると、8月の全国コアCPIは前年比+0.6%と見込まれる。


◆先行きの全国コアCPIの前年比は、基調として見ると当面プラス幅を緩やかに拡大させるとみている。ただし、ドル円レートと原油価格が現在の水準で推移する場合、2017年秋以降に、全国コアCPIの上昇ペースが鈍化し始めるとみられる。足下では、家計の節約志向が継続する中、大手スーパーや家具販売店が一部商品の値下げを発表するなど、値下げの芽が出始めている点に注意が必要だ。

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