11月貿易統計

輸出数量が大幅に増加。米国向け乗用車輸出などが強い

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2016年12月19日

  • 齋藤 勉
  • 小林 俊介

サマリー

◆2016年11月の貿易統計によると、輸出金額は前年比▲0.4%と、14ヶ月連続で前年を下回ったが、前年比伸び率のマイナス幅は前月から大幅に縮小し、事前コンセンサスも上回った。前月時点では前年比マイナスであった輸出数量が、大幅にプラスに転じたことが、11月の輸出金額上振れの主因である。輸入金額は同▲8.8%と23ヶ月連続で前年を下回った。この結果、貿易収支は1,525億円と3ヶ月連続の黒字となった。


◆季節調整値で見た輸出金額は前月比+4.3%と4ヶ月連続の増加、輸出数量は同+4.5%(季節調整値は大和総研による)と3ヶ月連続の増加となった。輸出数量を地域別に見ると、米国向けが同+1.7%と、3ヶ月連続の増加、EU向けが同+0.9%と3ヶ月連続の増加、アジア向けは同+4.0%と2ヶ月連続の増加となった。品目別では、米国向けの乗用車輸出台数が増加したほか、米国向け、アジア向けで自動車部品の輸出が大きく伸びた。一時的に弱含んでいたアジア向けIC、記録媒体の輸出数量が増加に復したことも全体をけん引した模様である。


◆先行きの輸出は、海外経済が緩やかな成長を続けるなか、緩やかな増加基調が続く公算が大きい。ただし、海外需要の回復が本格的かつ継続的に発現するまでには時間を要する可能性もある。加えて、保護貿易主義に向けた動きが世界的に広がりを見せた場合には、グローバルな貿易金額が大幅に縮小する可能性もあることから、相応のリスクが残存していることに注意が必要である。

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