2016年6月日銀短観

大企業の慎重姿勢が継続。Brexitが反映されず一段の下振れも

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2016年07月01日

  • 金融調査部 主任研究員 長内 智
  • 小林 俊介

サマリー

◆日銀短観(2016年6月調査)では、製造業と非製造業のいずれも中小企業の業況感が悪化しており、中小企業の経営状況に厳しさが現れていることが示された。また、大企業製造業の足下の業況感が低水準で横ばい、大企業非製造業は2四半期連続の悪化と、大企業の業況に対する慎重姿勢も明らかになった。


◆大企業製造業の「業況判断DI(最近)」は+6%ptと前回(+6%pt)から横ばいとなり、市場コンセンサス(+4%pt)を上回った。大企業非製造業の「業況判断DI(最近)」は+19%ptと前回調査(+22%pt)から悪化したものの、市場コンセンサス(+18%pt)は上回った。「業況判断DI(先行き)」を見ると、大企業製造業が+6%pt(今回から横ばい)、大企業非製造業は+17%pt(今回から▲2pt悪化)となった。


◆大企業全産業の2016年度の売上高計画は前年度比▲0.7%、経常利益計画は前年度比▲7.3%となった。輸出の停滞や個人消費の弱さなどを受けて、売上高と経常利益計画のいずれも下方修正された。特に、大企業製造業において、経常利益計画が10%以上(修正率▲11.6%)も大きく下方修正された点が懸念される。


◆全規模全産業の2016年度の「設備投資計画(含む土地、除くソフトウェア)」は、前年度比+0.4%と前回(同▲4.8%)から上方修正された。6月日銀短観の設備投資計画には、中小企業を中心に上方修正されるという「統計上のクセ」がある。今回は、昨年後半以降の内外需の停滞や円高進行の影響により、例年の修正パターンに比べて上方修正幅が小さくなる(当社予想、前年度比▲1.1%)とみていたが、実際には例年並みの上方修正となった。

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