サマリー
◆2016年1-3月期の実質GDP成長率は前期比年率+1.7%(前期比+0.4%)と、市場コンセンサス(前期比年率+0.3%、前期比+0.1%)を上回った。実質GDPのプラス成長は2四半期ぶりであるが、今回の結果には「うるう年」による営業日数の増加分が含まれていることを勘案すると、実態として、実質GDPは微増もしくは横ばい圏との評価になろう。総じて見ると、これまでの当社の見方通り、日本経済は「踊り場」局面が続いていると判断できる。
◆2016年1-3月期の結果を需要項目別に見ると、個人消費は前期比+0.5%と2四半期ぶりに増加した。ただし、当社では「うるう年」による押し上げ効果を除くと、ほぼ横ばいであり、個人消費は停滞が続いていると評価する。住宅投資は同▲0.8%と2四半期連続の減少となった。設備投資は同▲1.4%と3四半期ぶりの減少となり、これまでの増加傾向に一服感が見られる。民間在庫品増加は前期比寄与度▲0.0%ptと僅かながらも3四半期連続のマイナス寄与となった。輸出は前期比+0.6%と2四半期ぶりの増加となった。財輸出に関しては、EU向けと米国向けが増加に寄与したとみている。
◆当社のメインシナリオとして、先行きの日本経済は、良好な雇用・所得環境を背景とする個人消費の底堅さがプラスに作用すると想定しているものの、明確なけん引役が不在で下振れリスクを抱えた状況が続く公算が大きい。特に、中国経済の下振れ、米国の「出口戦略」などを背景とするグローバル金融市場の動揺、「リスクオフ」の進行に伴う円高・株安など、我が国の景気下押しリスクが残存している点には注意が必要である。加えて、熊本地震の影響による景気の変動にも留意が必要だ。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年11月雇用統計
失業者数が減少し、雇用環境の改善が進む
2025年12月26日
-
2025年11月鉱工業生産
自動車の減産などが押し下げ要因/当面の間は軟調な推移を見込む
2025年12月26日
-
トランプ関税の影響緩和に作用した企業対応
自動車は関税負担吸収で他企業への波及回避/機械は価格転嫁
2025年12月19日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
-
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
-
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日

