サマリー
◆2016年2月の機械受注統計によると、国内設備投資の先行指標である民需(船舶・電力を除く)は、前月比▲9.2%と3ヶ月ぶりの減少となったものの、市場コンセンサス(同▲12.0%)は上回った。1月分が特殊要因もあって大幅増となっていたため、2月の結果がマイナスとなったことは市場予想通りであり、前月比大幅減となったことをネガティブに捉える必要はなかろう。民需の動向を均してみると、横ばい圏で推移していると評価できる。
◆2月分のデータに関して、需要者別に受注を見ると、製造業は前月比▲30.6%と2ヶ月ぶりに減少した。1月に鉄鋼業において大型受注があったことの反動の影響が現れた。非製造業(船舶・電力を除く)は前月比+10.2%と3ヶ月連続で増加した。非製造業は振れを伴いながら緩やかな増加基調を辿っている。
◆設備投資の先行指標である機械受注は先行き、横ばい圏で推移する展開を予想している。日銀がマイナス金利を導入したことを受け、企業の資金調達コストが低下することが設備投資を下支えするとみている。また、労働需給が引き続きタイトな中、特に外需の影響を受けにくい非製造業において、人手不足に対応した省力化・省人化投資が行われることが期待できるだろう。一方、新興国経済の減速や円高・ドル安の加速といった外部環境の悪化が、製造業を中心とした輸出関連企業の業績の重石となる公算が大きくなってきた点は気がかりだ。これまでの設備投資を支えてきた“好業績”という前提が崩れれば、企業は設備投資に対して慎重姿勢を強める可能性があろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
- 
                
                
                
                    
2025年9月鉱工業生産
生産用機械工業などの増産で上昇も、先行きは軟調な推移を見込む
2025年10月31日
 - 
                
                
                
                    
2025年9月雇用統計
失業率は前月から横ばいも、労働参加と就業拡大が進展
2025年10月31日
 - 
                
                
                
                    
2025年7-9月期GDP(1次速報)予測~前期比年率▲2.8%を予想
トランプ関税や前期からの反動減で6四半期ぶりのマイナス成長か
2025年10月31日
 
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
                                
                                    
                                      - 
                                              
                                          
第226回日本経済予測(改訂版)
                                          低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
                                          
                                            2025年09月08日
                                          
                                       
                                      - 
                                              
                                          
聖域なきスタンダード市場改革議論
                                          上場維持基準などの見直しにも言及
                                          
                                            2025年09月22日
                                          
                                       
                                      - 
                                              
                                          
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
                                          金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
                                          
                                            2025年09月01日
                                          
                                       
                                      - 
                                              
                                          
日本経済見通し:2025年9月
                                          トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
                                          
                                            2025年09月25日
                                          
                                       
                                      - 
                                              
                                          
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
                                          25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
                                          
                                            2025年01月23日
                                          
                                       
                                
                        
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日

