サマリー
◆2016年1月の機械受注統計によると、国内設備投資の先行指標である民需(船舶・電力を除く)は、前月比+15.0%と2ヶ月連続で増加し、市場コンセンサス(同+1.9%)を大幅に上回った。しかし、1月に大幅増となったのは鉄鋼業において大型の受注があったことが主因である。年明け以降、世界経済の先行き不透明感は強まっており、1月の結果を見て受注が改善傾向にあると断じるのは時期尚早と考える。
◆1月分のデータに関して、需要者別に受注を見ると、製造業は前月比+41.2%と3ヶ月ぶりに増加した。鉄鋼業において大型の受注を計上したことが主因である。非製造業(船舶・電力を除く)は前月比+1.0%と2ヶ月連続で増加した。非製造業の受注は振れを伴いながら緩やかな増加基調を辿っている。
◆設備投資に先行する機械受注は今後、緩やかながら増加基調を辿ると予想している。12月日銀短観では、製造業が設備投資に対して慎重になっている一方で、非製造業の投資意欲は健在であることが示された。先行きの設備投資については、堅調な内需に支えられた非製造業において、人手不足に対応した省力化・省人化投資が行われることが期待される。加えて、日銀がマイナス金利を導入したことを受けて、企業の資金調達コストが低下する見通しであることも設備投資を下支えすると考えられる。ただし、年初から円高が進行しているほか、世界経済に対する先行き不透明感が一段と強まっている点に留意しておきたい。外部環境の悪化を受け、輸出関連企業を中心とした製造業が設備投資に対して慎重姿勢を強める可能性があろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年4-6月期GDP(2次速報)
実質GDP成長率は前期比年率+2.2%に高まるも民間在庫などが主因
2025年09月08日
-
一億自己啓発社会の死角
データが示す、転職志向・子育て・ジェンダーにおける格差
2025年09月05日
-
2025年7月消費統計
需要側統計は強いが供給側は弱く、総じて見れば前月から概ね横ばい
2025年09月05日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日