1月鉱工業生産

基調は一進一退

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2016年02月29日

  • 小林 俊介

サマリー

◆2016年1月の生産指数は前月比+3.7%となり、3ヶ月ぶりの上昇となった。市場コンセンサス(同+3.2%)から若干上振れしており、また、出荷指数も同+3.4%と比較的大幅に回復している。在庫は同▲0.3%と微かながら減少し、在庫率指数は同▲2.1%と双方ともに3ヶ月ぶりに低下しており、緩やかながら在庫調整の進展がみられることも好材料だ。ただし予測調査で確認できる先行きの生産見通しは一進一退である。


◆先行きの生産はしばらく一進一退が続く見通しである。年初からの金融市場の混乱にも象徴されるように、海外需要の回復が本格的かつ継続的に発現するまでには相応の時間を要するものとみられる。とりわけ原油価格下落やドル高が企業部門の重石となっている米国と、過剰設備の調整が必要なアジア向け資本財や素材の輸出不振が当面続く可能性が高い。ただし内需については、勤労世帯および年金受給世帯の実質所得環境改善に伴う消費の回復が見込まれる。また、国内設備投資に対する企業の意欲は衰えておらず、資本財需要の下支え要因となろう。

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