12月日銀短観

大企業の業況感は予想外の横ばいだが、先行き不透明感が強まる

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2015年12月14日

  • 金融調査部 主任研究員 長内 智
  • 小林 俊介

サマリー

◆日銀短観(2015年12月調査)では、悪化が見込まれていた大企業の業況感が予想外の横ばいとなった一方で、企業が先行きに対して一段と慎重になっていることが明らかになった。この背景としては、中国をはじめとする海外経済の減速、輸出と生産の停滞や個人消費の回復ペースの鈍さなどが考えられる。


◆大企業製造業の「業況判断DI(最近)」は+12%ptと前回調査から横ばいとなり、悪化を見込んでいた市場コンセンサスを僅かながら上回った。大企業非製造業の「業況判断DI(最近)」も+25%ptと前回調査から横ばいとなった。非製造業に関しては、これまでの改善ペースが少し速かったことからの反動が出るとみていたが、依然として業況感は底堅い状況にある。


◆大企業全産業の2015年度の売上高計画は前年度比▲1.1%、経常利益計画は前年度比+6.5%となった。売上高は冴えない個人消費や輸出の停滞などを受けて小幅な減収になった一方、値上げや資源安によるマージンの改善を背景に、しっかりとした経常増益が見込まれる。


◆全規模全産業の2015年度の「設備投資計画(含む土地、除くソフトウェア)」は、前年度比+7.8%と前回(同+6.4%)から上方修正された。12月日銀短観では、中小企業を中心に設備投資計画が上方修正されるという「統計上のクセ」があるが、9月日銀短観同様、非製造業を中心に通常の修正パターンより強い結果だと評価する。

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