サマリー
◆2015年5月の生産指数は前月比▲2.2%となり、前月時点での予測調査(同+0.5%)に反して2ヶ月ぶりの低下となった。市場コンセンサス(同▲0.8%)対比でも大きく下振れており、ネガティブな内容である。
◆今回の結果は、2014年8月を底として続いてきた緩やかな回復基調が、一旦踊り場局面に転じたことを確認させる内容であった。背景には直近の輸出の停滞と在庫調整があるとみられ、先行きについてもソフトパッチ傾向が続く見通しである。予測調査では、6月の生産計画は前月比+1.5%、7月は同+0.6%と緩やかな回復が示唆されているものの、最近の実現率・予測修正率を踏まえると横ばい圏での推移が続く公算が大きい。
◆先行きの生産については、一旦の調整を経たのち、趨勢としては堅調な輸出に支えられる形で再度増産傾向に転じると見込んでいる。内需についても、雇用環境の改善に加えて、エネルギー価格下落等に伴う実質所得の増加を受けて改善に向かうだろう。ただし、実質所得増による消費押し上げは「ラチェット効果」によりタイムラグを経る必要があることに加え、在庫率の高止まりや、米国向け・中国向け輸出の回復までのリードタイムを考慮すると、生産は一旦踊り場局面を形成する可能性が高い。
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