3月雇用統計

ヘッドラインは良好だが留意点も

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2015年05月01日

  • 永井 寛之

サマリー

◆労働力調査によると、2015年3月の完全失業率(季節調整値)は、前月から0.1%pt低下し3.4%となった。雇用者数は、前月差+3万人と3ヶ月ぶりに増加したものの、自営業主・家族従業者を含めた就業者数を見ると、同▲10万人と2ヶ月ぶりに減少した。失業者数は同▲9万人と2ヶ月連続で減少した。非労働力人口は同+17万人と増加した。


◆一般職業紹介状況によると、2015年3月の有効求人倍率(季節調整値)は前月から同水準の1.15倍となった。また、新規求人倍率は前月差+0.09ptと大幅に上昇し、1.72倍となった。3月の求人倍率の内訳を見ると、求職については、新規求職申込件数(前月比▲10.0%)、有効求職者数(同▲1.3%)ともに3ヶ月ぶりに減少した。他方、求人側を見ると、有効求人数が同▲1.2%と6ヶ月ぶりに減少し、新規求人数も同▲5.0%と2ヶ月連続で減少した。


◆3月の雇用関連統計を総じて見れば、完全失業率や新規求人倍率のヘッドラインの数字は良好だったと考える。加えて、2015年3月日銀短観(全規模全産業)の雇用人員判断DIを見ると企業の雇用不足感が高まり、先行きについても一層の雇用不足を見込む結果となった点はポジティブと評価する。緩やかに景気拡大が進む中、完全失業率や有効求人倍率に見る労働需給はひっ迫感の強い状況が続くと見込んでいる。

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