サマリー
◆2014年1-3月期の実質GDP成長率は前期比年率+5.9%(前期比+1.5%)と6四半期連続のプラス成長となり、市場コンセンサス(前期比年率+4.2%、前期比+1.0%)を上回った。内・外需別に寄与度を見ると、内需寄与度は駆け込み需要によって個人消費が大幅に増加したことを主因に前期比+1.7%ptと6四半期連続のプラスとなった。
◆個人消費は前期比+2.1%と6四半期連続の増加となった。実質雇用者報酬については前期比▲0.3%と3四半期連続で減少しており、個人消費の高い伸びは増税前の駆け込み需要によるものである。駆け込み需要の規模に関して、前回増税時(1997年4月)と比較してみると、1997年1-3月期の個人消費は前期比+2.1%であり、単純に前期比変化率のみを比較すると前回増税時と同程度に留まった模様。
◆先行きの日本経済に関して、2014年4-6月期は個人消費、住宅投資の反動減によって7四半期ぶりのマイナス成長となる可能性が高い。ただし、反動減による下押し圧力は4月を底に緩和する見込みであること、大企業を中心としたベースアップの動きや労働需給ひっ迫によって賃金上昇圧力が高まっていることから、7-9月期には個人消費は前期比ベースでは増加に転じる可能性が高い。また、輸出は米国を中心とする海外経済の拡大と、円安による競争力の向上によって増加基調が続く見込みである。輸出の増加を起点とした生産の増加や収益の改善によって、今回加速が見られた設備投資についても増加傾向が続くとみられる。結論として、日本経済は2014年7-9月期以降、成長経路に復するとみている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
ゼロクリックで完結する情報検索
AI検索サービスがもたらす情報発信戦略と収益モデルの新たな課題
2025年10月10日
-
2025年8月消費統計
サービス消費が強く、総じて見れば前月から小幅に増加
2025年10月07日
-
財政悪化が日本経済にもたらす影響とリスクの定量評価
成長力強化と財政健全化で将来の財政危機発生リスクの抑制を
2025年10月07日
最新のレポート・コラム
-
働く低所得者の負担を軽減する「社会保険料還付付き税額控除」の提案
追加財政負担なしで課税最低限(年収の壁)178万円達成も可能
2025年10月10日
-
ゼロクリックで完結する情報検索
AI検索サービスがもたらす情報発信戦略と収益モデルの新たな課題
2025年10月10日
-
「インパクトを考慮した投資」は「インパクト投資」か?
両者は別物だが、共にインパクトを生むことに変わりはない
2025年10月09日
-
一部の地域は企業関連で改善の兆し~物価高・海外動向・新政権の政策を注視
2025年10月 大和地域AI(地域愛)インデックス
2025年10月08日
-
政治不安が続くアジア新興国、脆弱な中間層に配慮した政策を
2025年10月10日
よく読まれているリサーチレポート
-
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
-
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日