サマリー
◆本稿は、SNA統計を中心にして社会保障を分析したものである。SNAを使うメリットは、今や社会保障が財政悪化の最大の要因となっている中、社会保障と財政・経済との関係を整合的に捉えることができることなどである。しかし、現時点では年齢層別のデータが存在しないなどの制約があるため、他の統計データで補う必要がある。
◆具体的な内容としては、財政健全化目標など財政との関係を見た後、年金、医療、介護、といった分野別に、更に詳細な制度などまでブレークダウンして給付や収支の推移などを見ている。特に、高齢者数増加とそれ以外の要因がどの程度効いているのかを分析している。
◆結果については、高齢者数増によらない給付増も大きい。「高齢者数が増加するのでどうしても社会保障支出は増加してしまう」と考えがちだが、実はそれ以外の要因による支出増が、若年者分増も含めかなりある。
◆負担面では、総額の横ばい傾向は、生産年齢人口減少よりも、デフレ下で正規労働者の賃金下落や非正規労働者への転換により雇用者報酬が減少した影響の方が大きい。なお、総額が減少とならなかったのは、保険料引上げなどが行われたためである。デフレから脱却し雇用者報酬が増加すれば、多少は財政健全化に貢献するが、これまでの給付と負担の差の累積は全く解消しない。
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