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経常収支の先行きをどう見るか

第一次所得収支黒字幅の拡大を主因として経常収支は黒字幅拡大へ

2014年04月04日

齋藤 勉

サマリー

◆2013年の経常収支黒字幅が過去最小となったこと、足下で季節調整済みの経常収支が過去最大の赤字幅を記録したことで、経常収支赤字が定着するのではないかという声が多く聞かれるようになった。


◆第一次所得収支は、世界一の対外純資産を背景に黒字幅の拡大が続いている。なかでも、証券投資収益配当金や直接投資収益出資所得など、エクイティ性の強いものの割合が高まっている。海外M&Aの増加などが背景にあると考えられ、こうした動きは第一次所得収支のさらなる拡大につながるとみられる。


◆サービス収支は、製造業の海外進出に伴うライセンス料受取の増加と、訪日外国人旅行者数の増加によって、赤字幅は縮小傾向にある。今後も、こうした傾向は継続が予想されるため、サービス収支赤字幅は徐々に縮小し、黒字化も視野に入るだろう。


◆第一次所得収支は黒字幅の拡大が続いており、サービス収支は赤字幅の縮小傾向が継続している。先行きに関しても、こうした傾向は変わらないと考えられるため、貿易外収支は黒字幅を拡大していく公算が大きい。貿易収支についても、赤字幅を縮小していく可能性が高いと考えているが、もし貿易収支赤字幅が現状レベルで推移したとしても、貿易外収支の黒字幅は拡大が続くため、経常収支の赤字が定着するというような事態にはならないだろう。


◆日本銀行、財務省は2014年1月分統計の公表から、国際収支の作成基準をIMF国際収支マニュアル第5版(BPM5)から第6版(BPM6)へと切り替えた。統計の見直しによって、貿易収支赤字幅は縮小し、サービス収支は赤字幅が拡大した。所得収支は第一次所得収支という名称に変更され、再投資収益の計上時期の変更により、数値が一部改定された。資本収支は外貨準備増減と統合されて金融収支という項目に再編成され、海外純資産が増加した際にはプラス、減少した際にはマイナスで計上されるようになった。

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