6月消費統計

マインドの悪化から一時的に足踏み

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2013年07月30日

  • 齋藤 勉

サマリー

◆2013年6月の総務省「家計調査」によると、実質消費支出は季節調整済み前月比▲2.0%と2ヶ月ぶりの減少となった。振れの大きい住居や自動車などを除いた実質消費支出(除く住居等)で見ても、同▲1.2%と2ヶ月ぶりに減少している。2013年初頭から増加の続いてきた個人消費は、一時的に足踏み状態にあると言えよう。


◆実質消費支出の動きを項目別に見ると、「家具・家事用品」が前月比+0.6%、「教養娯楽」が同+0.8%と、それぞれ小幅増となったが、その他の項目は総じて減少した。「被服及び履物」が同▲1.2%と減少し、「交通・通信」は同▲2.6%と4ヶ月連続のマイナス。「食料」は同▲0.4%と小幅減であった。「被服及び履物」は、前月大幅に増加した反動で減少したものの、6月は例年よりも気温が高かったことから、夏物衣料品などの売り上げは堅調に推移しているとみられる。「交通・通信」は4ヶ月連続の減少となったが、供給側の統計を見ても新車販売台数は減少に転じており、自動車販売の増加傾向にも一服感が見られる。「食料」に関しては、2ヶ月連続の減少となったものの、外食への支出の増加などから支出金額の水準自体は高い。


◆5月後半以降の株価急落を受けて、6月の消費者マインドは足踏みとなり、個人消費の増加傾向も一服した模様だ。ただし、消費金額は近年では高い水準に留まっており、消費の減速は経済を大きく押し下げるほどのものではない。一方、足下では、残業代やボーナスの増加を受けて所得環境は改善傾向にある。今後は所得環境が消費の増加に繋がる自律的な回復経路に復していくことになるだろう。

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