サマリー
◆2013年1-3月期の実質GDP成長率(2次速報)は前期比年率+4.1%(前期比+1.0%)と、1次速報(前期比年率+3.5%、前期比+0.9%)から上方修正された。市場コンセンサス(前期比年率+3.5%、前期比+0.9%)からわずかに上振れした形だが、これは在庫投資が市場予想を上回ったためであり、特段ポジティブな内容というわけではない。
◆1次速報からの改訂を需要項目別に見ると、法人企業統計を受けて、設備投資は前期比▲0.3%と1次速報(同▲0.7%)から上方修正となった。ただし、前期比減少が続いており、設備投資の低迷が続いているという状況に変化はない。民間在庫も、法人企業統計を受けて1次速報から上方修正(実質GDPに対する寄与度、1次速報:▲0.2%pt→2次速報:▲0.0%pt)された。在庫の上方修正が、今回GDPが上方修正された主因である。
◆先行きに関しては、4-6月期以降もGDPは増加傾向が続き、本格的な景気拡大に向かうと見込んでいる。ようやく下げ止まってきた輸出は、海外景気の改善に加え、2012年末からの円安による押し上げ効果がラグを伴って発現することで、増加基調となる可能性が高い。設備投資は依然低迷が続いているが、輸出増加による企業収益の改善や生産の増加に誘発されて、徐々に増加に向かうと見込んでいる。また、企業収益の改善が家計の所得環境にも波及することで、個人消費を下支えすることとなろう。4-6月期以降は、家計部門、企業部門、外需がバランスよく成長する姿が想定される。また、こうした循環的な回復に加え、①足下やや減速している公共投資は、2012年度補正予算が2013年2月末に成立したことを受け、再加速する公算が大きいこと、②2014年4月(予定)の消費税増税に向けて、個人消費、住宅投資では、年度後半に向けて駆け込み需要が発生する可能性が高いこと、といった要因もあり、2013年度内は成長が徐々に加速していく見込みである。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年8月消費統計
サービス消費が強く、総じて見れば前月から小幅に増加
2025年10月07日
-
財政悪化が日本経済にもたらす影響とリスクの定量評価
成長力強化と財政健全化で将来の財政危機発生リスクの抑制を
2025年10月07日
-
日本財政の論点 – PB赤字と政府債務対GDP比低下両立の持続性
インフレ状態への移行に伴う一時的な両立であり、その持続性は低い
2025年10月06日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
-
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日