サマリー
安倍内閣の「三本の矢」のうち、成長戦略の議論が産業競争力会議や規制改革会議で本格化している。しかし、過去にも成長に関する議論は政府で何度も行われたが、いずれも実効性に乏しかった。日本は本当に今後も成長できるのか。もしできるのなら我々は何をすべきなのか。
労働力人口が減る中で生活水準を上げるには、生産性を高める成長戦略が重要である。生産性を上げるには、技術進歩だけでなく、外部環境の変化に応じて、資源(人や資金)が必要な箇所に流れるような効率的な仕組みを強化することが求められる。例えば、人材の多様化(ダイバーシティ)や海外への開放性、そして業界や雇用を保護する規制を緩和することが必要だ。
今必要なのは、企業活動を活発にする制度改革である。政府は、企業が豊富な情報(価格も含む)に基づいて投資や研究開発を行い、ルールに基づいて互いが切磋琢磨する、新陳代謝を促す競争的な環境を整備すべきである。
ターゲティング・ポリシーのような産業支援的な政策は、既得権益を作る誘因を持ちやすい。あくまで一時的にセーフティネットや市場の失敗を補完するという機能に限定し、生産性を損なわせない工夫が求められる。

大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
消費データブック(2025/12/2号)
個社データ・業界統計・JCB消費NOWから消費動向を先取り
2025年12月02日
-
2025年7-9月期法人企業統計と2次QE予測
AI関連需要の高まりで大幅増益/2次QEでGDPは小幅の下方修正へ
2025年12月01日
-
高市政権における実質賃金上昇の鍵は?
政策・改革の推進で40年度までの実質賃金は年率1.2~1.6%程度に
2025年12月01日
最新のレポート・コラム
-
消費データブック(2025/12/2号)
個社データ・業界統計・JCB消費NOWから消費動向を先取り
2025年12月02日
-
「年収の壁」とされる課税最低限の引上げはどのように行うべきか
基礎控除の引上げよりも、給付付き税額控除が適切な方法
2025年12月02日
-
2025年7-9月期法人企業統計と2次QE予測
AI関連需要の高まりで大幅増益/2次QEでGDPは小幅の下方修正へ
2025年12月01日
-
「2030年に女性役員比率30%」に向けた課題
TOPIX500採用銘柄における現状、変化、業種別の傾向等の分析
2025年12月01日
-
なぜ今、ベトナム市場なのか:外国人投資家が注目する理由
2025年12月01日

