サマリー
安倍内閣の「三本の矢」のうち、成長戦略の議論が産業競争力会議や規制改革会議で本格化している。しかし、過去にも成長に関する議論は政府で何度も行われたが、いずれも実効性に乏しかった。日本は本当に今後も成長できるのか。もしできるのなら我々は何をすべきなのか。
労働力人口が減る中で生活水準を上げるには、生産性を高める成長戦略が重要である。生産性を上げるには、技術進歩だけでなく、外部環境の変化に応じて、資源(人や資金)が必要な箇所に流れるような効率的な仕組みを強化することが求められる。例えば、人材の多様化(ダイバーシティ)や海外への開放性、そして業界や雇用を保護する規制を緩和することが必要だ。
今必要なのは、企業活動を活発にする制度改革である。政府は、企業が豊富な情報(価格も含む)に基づいて投資や研究開発を行い、ルールに基づいて互いが切磋琢磨する、新陳代謝を促す競争的な環境を整備すべきである。
ターゲティング・ポリシーのような産業支援的な政策は、既得権益を作る誘因を持ちやすい。あくまで一時的にセーフティネットや市場の失敗を補完するという機能に限定し、生産性を損なわせない工夫が求められる。
大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
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