4月消費統計

増加基調のなかで一時的に減少

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2013年05月31日

  • 齋藤 勉

サマリー

◆2013年4月の家計調査によると、実質消費支出は前年比+1.5%と4ヶ月連続のプラスとなった。季節調整値で見ると前月比▲4.6%と4ヶ月ぶりの減少、振れの大きい住居や自動車などを除いた実質消費支出(除く住居等)で見ると、同▲2.4%と2ヶ月連続の減少となった。ただし、落ち込みの要因は天候などの一時的なものであるとみられること、新車販売台数は増加が続いていることなどから、消費の増加基調は大きくは変わらないと考えている。


◆実質消費支出の動きを項目別に見ると、「家具・家事用品」が前月比+3.9%と増加した一方で、「交通・通信」が同▲12.5%、「教育」が同▲9.7%、「保健医療」が同▲7.0%、「光熱・水道」が同▲5.3%、「被服及び履物」が同▲2.3%、「教養娯楽」が同▲0.9%と総じて減少している。「食料」は前月比0.0%であった。


◆4月の消費はいったんの足踏みとなったものの、天候要因や統計の振れの影響があることや、消費者マインドが依然として高水準で推移していることから、基調としての消費は大きくは減速していないと考えている。ただし、これまでの消費拡大の背景には、株高による消費者マインドの改善に加えて、将来の所得増への期待も含まれているとみられる。そのため、今後残業代やボーナスを中心として所得環境が改善してこなければ、消費は減速する可能性もあるだろう。各種調査では2013年度夏季賞与は前年比で増加が見込まれているものの、賃金の増加が一部の業種や大企業に留まるのでは、消費を増加させる効果は限定的である。幅広い範囲で所得環境が改善するかどうかを、注視していく必要がある。

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