サマリー
◆2013年4月の家計調査によると、実質消費支出は前年比+1.5%と4ヶ月連続のプラスとなった。季節調整値で見ると前月比▲4.6%と4ヶ月ぶりの減少、振れの大きい住居や自動車などを除いた実質消費支出(除く住居等)で見ると、同▲2.4%と2ヶ月連続の減少となった。ただし、落ち込みの要因は天候などの一時的なものであるとみられること、新車販売台数は増加が続いていることなどから、消費の増加基調は大きくは変わらないと考えている。
◆実質消費支出の動きを項目別に見ると、「家具・家事用品」が前月比+3.9%と増加した一方で、「交通・通信」が同▲12.5%、「教育」が同▲9.7%、「保健医療」が同▲7.0%、「光熱・水道」が同▲5.3%、「被服及び履物」が同▲2.3%、「教養娯楽」が同▲0.9%と総じて減少している。「食料」は前月比0.0%であった。
◆4月の消費はいったんの足踏みとなったものの、天候要因や統計の振れの影響があることや、消費者マインドが依然として高水準で推移していることから、基調としての消費は大きくは減速していないと考えている。ただし、これまでの消費拡大の背景には、株高による消費者マインドの改善に加えて、将来の所得増への期待も含まれているとみられる。そのため、今後残業代やボーナスを中心として所得環境が改善してこなければ、消費は減速する可能性もあるだろう。各種調査では2013年度夏季賞与は前年比で増加が見込まれているものの、賃金の増加が一部の業種や大企業に留まるのでは、消費を増加させる効果は限定的である。幅広い範囲で所得環境が改善するかどうかを、注視していく必要がある。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年4-6月期GDP(2次速報)
実質GDP成長率は前期比年率+2.2%に高まるも民間在庫などが主因
2025年09月08日
-
一億自己啓発社会の死角
データが示す、転職志向・子育て・ジェンダーにおける格差
2025年09月05日
-
2025年7月消費統計
需要側統計は強いが供給側は弱く、総じて見れば前月から概ね横ばい
2025年09月05日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日