サマリー
エネルギー自給率が低く、専ら供給側による電力需給の調整を行ってきた日本では、電力料金が高止まりしやすい。電力は経済活動のインフラとして、安定的かつ経済的に利用される必要があるとともに、世界的な低炭素化の流れの中で、電力供給が環境面に与える影響も十分に踏まえる必要がある。
こうした問題を解決するためのポイントは、効率化と多様化にある。この2つは電力の安定化や低コスト化に役立つだけでなく、環境面での改善(低炭素化)にも大きく貢献する。具体的には、価格メカニズムやICTを活用した電力需要の効率化、発電効率の向上やコジェネレーションによる電力供給側の効率化、再生可能エネルギーの利用や化石燃料の調達ルートの分散、そして送電網の連携強化といった電源・調達先の多様化である。
現在の電力システムを強靭かつ低炭素なものに変えるには、民間企業のイノベーションを最大限に引き出すことが重要である。そのためには、政府が電力自由化の早期取り組みを行い、さらにトップランナー基準の適用範囲の拡大や技術輸出の拡大を促す貿易ルールを確立するなど、民間企業にインセンティブを与える優れた環境づくりが、今後の成長戦略として必要だろう。
大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
消費データブック(2025/7/2号)
個社データ・業界統計・JCB消費NOWから消費動向を先取り
2025年07月02日
-
2025年6月日銀短観
業況判断DI(最近)は底堅いが、先行きへの強い警戒が示された内容
2025年07月01日
-
2025年5月鉱工業生産
生産用機械工業などの増産で上昇も市場予想を大幅に下回る結果
2025年06月30日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
-
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日