電力問題の解決と日本の成長戦略

~強靭・低炭素な電力システムへ~『大和総研調査季報』 2013年新春号(Vol.9)掲載

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2013年03月01日

サマリー

エネルギー自給率が低く、専ら供給側による電力需給の調整を行ってきた日本では、電力料金が高止まりしやすい。電力は経済活動のインフラとして、安定的かつ経済的に利用される必要があるとともに、世界的な低炭素化の流れの中で、電力供給が環境面に与える影響も十分に踏まえる必要がある。


こうした問題を解決するためのポイントは、効率化と多様化にある。この2つは電力の安定化や低コスト化に役立つだけでなく、環境面での改善(低炭素化)にも大きく貢献する。具体的には、価格メカニズムやICTを活用した電力需要の効率化、発電効率の向上やコジェネレーションによる電力供給側の効率化、再生可能エネルギーの利用や化石燃料の調達ルートの分散、そして送電網の連携強化といった電源・調達先の多様化である。


現在の電力システムを強靭かつ低炭素なものに変えるには、民間企業のイノベーションを最大限に引き出すことが重要である。そのためには、政府が電力自由化の早期取り組みを行い、さらにトップランナー基準の適用範囲の拡大や技術輸出の拡大を促す貿易ルールを確立するなど、民間企業にインセンティブを与える優れた環境づくりが、今後の成長戦略として必要だろう。


大和総研調査季報 2024年新春号Vol.53

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