9月貿易統計~一部に日中関係悪化の影響も

米国向けが減速、中国向けは輸送用機器が減少幅拡大

RSS

2012年10月22日

  • ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 橋本 政彦

サマリー

◆2012年9月の貿易統計では、輸出金額が前年比▲10.3%と4ヶ月連続のマイナスとなり、市場コンセンサス(同▲9.9%)を下回った。輸出金額の季節調整値は前月比+0.9%と5ヶ月ぶりの増加となったものの、均してみれば輸出は悪化傾向が続いている。輸出数量指数(季節調整値、大和総研による試算値)を地域別にみると、アジア向け、EU向けが前月比で増加したものの、米国向けの減少により、全世界向けでは前月比▲0.8%と減少した。これまで、欧州向け、アジア向け輸出が弱含む中、米国向けが輸出全体を下支えする構図が続いてきたが、米国向けに関してもこのところ減速感が見られている。

◆9月中旬以降の日中関係悪化を背景に、中国向け輸出の動向が注目されたが、中国向け輸出金額は前年比▲14.1%と、8月(同▲9.9%)から減少幅を拡大した。前年割れは4ヶ月連続であり、輸出の減少の主因は中国の景気減速の影響とみられるが、輸送用機器(9月:前年比▲32.1%)では、減少幅が8月(同▲14.0%)から大きく拡大するなど、日中関係の悪化が輸出に悪影響を与えた可能性があり、今後の動向には注視が必要。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。