サマリー
◆【1】概況~ポジティブな内容: 2012年6月の日銀短観では、底堅い国内需要に支えられた「非製造業」の業況感が改善を続けたことに加えて、海外経済減速が重石となっている「製造業」も堅調に改善した。海外経済の減速や輸出・生産の減速傾向から輸出関連製造業を取り巻く経済環境の厳しさが増していると予想していたことから、当社は今回の製造業の業況感の改善をポジティブに捉えている。
◆【2】業況判断DI(最近)は製造業と非製造業が揃って改善: 大企業・製造業の「業況判断DI(最近)」は▲1%ptと前回から改善し、市場コンセンサスを上回った。素材業種と加工業種ともに改善するなど、製造業の業況感が持ち直してきたことを確認できる内容であった。大企業・非製造業の「業況判断DI(最近)」は+8%ptと4四半期連続の改善となり、概ね市場コンセンサス通りの結果であった。
◆【3】業況判断DI(先行き)は製造業がプラス圏へ: 大企業・製造業の「業況判断DI(先行き)」は+1%ptと今回の「業況判断DI(最近)」から堅調に改善して、プラス圏へ浮上する見込みとなった。加工業種が小幅な改善に留まる一方で、素材業種が幅広く改善して全体を押し上げるとみられる。
◆【4】2012年度の収益計画は製造業の上方修正が目立つ: 2012年度の大企業・製造業の売上高計画は前年比+5.1%(修正率+2.9%)、経常利益計画は前年比+10.1%(同+17.8%)と揃って上方修正された。通常、収益計画は年度計画をあまり変えず、上期の上方修正(下方修正)と下期の下方修正(上方修正)で調整するという傾向が指摘できる。しかし、今回は上期、下期ともに修正率がプラスとなっており、製造業の収益見通しは大きく改善したと判断できる。
◆【5】設備投資計画は想定通りに回復: 企業の設備投資はこれまでの想定通りに回復軌道を辿ると考える。大企業・全産業の2012年度の「設備投資計画(含む土地、除くソフトウェア)」は、前年比+6.2%となり、市場コンセンサスを大きく上回った。今回の設備投資計画の上方修正幅は例年のパターンを上回る強い結果であると評価する。
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