サマリー
◆【概況】2ヶ月連続の大幅なマイナス:10月の機械受注統計は、非製造業が全体を押し下げたことで大きく足踏みし、先行き不透明感が高まるという内容であった。国内の機械設備投資の先行指標である民需(船舶・電力を除く)は、前月比▲6.9%と2ヶ月連続のマイナスとなり、市場コンセンサスを大幅に下回った。3ヶ月移動平均値ベースでも前月比▲1.7%と2ヶ月連続のマイナスになっており、機械受注の改善基調に陰りが見られる。
◆受注の主要内訳】非製造業が全体を押し下げ:需要者別では、製造業が前月比+5.5%となった一方で、非製造業(船舶・電力を除く)が同▲7.3%となり、後者が全体を押し下げた。官公需は、10-12月の見通し調査において大幅な増加見通しが示されたが、前月比+1.9%とプラス幅は限定的であった。海外経済の減速の影響で減少傾向にある外需は前月比+1.6%と小幅な増加に留まり、総じてみれば弱含み傾向が続いていると評価している。
◆【今後の見通し】2つの重石で踊り場的な局面へ:民需(船舶・電力を除く)は、復興需要を支えにして今後も緩やかな回復軌道を辿ると考えている。ただし、(1)低空飛行を続ける復興需要、(2)海外経済減速の余波、という「2つの重石」によって、当面は踊り場的な局面になるとみている。企業の設備投資は足下で弱含んでおり、先行指標である機械受注にも不透明感が見え始めたため、引き続き力強さの欠ける状況が続く見通しである。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年4-6月期GDP(2次速報)
実質GDP成長率は前期比年率+2.2%に高まるも民間在庫などが主因
2025年09月08日
-
一億自己啓発社会の死角
データが示す、転職志向・子育て・ジェンダーにおける格差
2025年09月05日
-
2025年7月消費統計
需要側統計は強いが供給側は弱く、総じて見れば前月から概ね横ばい
2025年09月05日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日