サマリー
◆【概況】市場コンセンサスを下回る:9月の機械受注統計は、総じてみれば持ち直しの動きを継続したと評価できる一方で、海外経済の減速の影響が見られるなど、先行きに対しては若干の不透明感を残す内容であった。国内の機械設備投資の先行指標である民需(船舶・電力を除く)は、前月比▲8.2%と2ヶ月振りのマイナスとなり、市場コンセンサスを下回った。四半期別の結果をみると、7-9月期の民需(船舶・電力を除く)は、前期比+1.5%と3四半期連続のプラスとなり、見通し達成率も94.7%と前期から5.1pt 改善した。
◆【受注の主要内訳】加工組立型産業の減少が目立つ:製造業は、15業種中11業種が前月比でマイナスとなり、減少した業種の数は8月よりも大きく増加した。全体を押し下げた業種で目立つのは、「電気機械」、「情報通信機械」、「自動車・同付属品」、「一般機械」など加工組立型産業である。非製造業は、12業種中6業種がプラスとなった。運輸業・郵便業に前月からの反動増が出たことや、これまで弱含んでいた電力業が大幅に増加したことが寄与した。外需は、海外経済の減速の影響で減少傾向が続く。
◆【今後の見通し】復興需要と海外経済減速の綱引き:民需(船舶・電力を除く)は、復興需要を支えにして今後も回復軌道を辿ると見込む。2011年度第3次補正予算成立後に期待される復興需要の本格化に併せて、企業は機械設備の受注を増加させると考えている。機械受注が実際の設備投資として計上されるまでのタイムラグを考慮すると、設備投資は機械受注から1四半期ほど遅れたタイミングで増勢を強めるものと予想する。他方、海外経済の減速、円高、電力供給不足問題などのリスク要因を背景に、企業が能力増強のための設備投資に対して慎重な姿勢を強める可能性がある点には引き続き注意が必要である。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
国内旅行消費、押し上げの鍵は「分散化」
国・自治体・企業の連携で旅行の時期を分散し費用減と混雑の緩和を
2025年07月11日
-
経済指標の要点(6/18~7/11発表統計分)
2025年07月11日
-
有効求人倍率の低迷は実態を表しているのか?
業務統計であるが故のデータの振れや集計対象の偏りに注意
2025年07月09日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
-
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日