サマリー
◆ECBは9月の理事会で、6月以来2会合ぶりに今利下げサイクル2度目の利下げを実施した。一方、次回以降の利下げについては、データ次第で毎会合ごとに決定していくとされ、先行きの利下げパスについては事前にコミットしないというスタンスを維持している。
◆ユーロ圏経済の下振れリスクが高まっていることに加えて、米国FRBがインフレ抑制から景気の下支えへと政策の重心を変化させたことで、このところ金融市場ではECBが利下げペースを加速するのではないかとの見方が広がりつつある。しかし、ECBの責務はあくまで物価の安定であること、インフレ率についてはなおも上振れリスクが大きいことから、ECBが利下げペースを速める可能性は現状、高くないと考えられる。
◆9月の金融政策委員会で政策金利の据置きを決めたBOEも、先行きはデータ次第ながらも、緩やかなペースで利下げを続ける意向を示した。サービス価格の上昇率が依然として高く、インフレ率が高止まりするリスクが残ることや、ユーロ圏に比べて景気腰折れ懸念が大きくないことを踏まえれば、3ヵ月に1度程度の利下げが基本シナリオになるだろう。
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