サマリー
◆ユーロ圏の2021年10-12月期の実質GDP成長率(速報値)は前期比+0.3%(年率換算+1.2%)となり、3四半期連続でプラス成長を維持したものの、過去2四半期の前期比2%台の成長に比べると大きく減速した。ユーロ圏全体としては、2年ぶりにコロナ禍前(2019年10-12月期)のGDP水準を上回った。
◆主要国別に見ると、ユーロ圏GDPの約3割を占めるドイツが3四半期ぶりにマイナスに転じる一方、スペインやフランス、イタリアは前期から伸び率は鈍化しつつもプラス成長を維持した。主要国で明暗が分かれた格好だ。
◆新型コロナウイルス(以下、コロナ)の新規感染者が、新たな変異株(オミクロン株)の出現によって急増し、再び欧州各国が何らかの行動制限措置の導入を余儀なくされた点が、個人消費を中心に景気回復の重しになった。さらに、コロナ感染の影響も受けた供給サイドのボトルネックが生産活動の停滞を長期化させ、またエネルギー価格の高止まりによってコスト負担が増し、企業や家計の活動を鈍らせた。
◆2022年に入っても新規感染者が高水準のままの国が多い中で、一部の国では、感染者のピークアウトや重症化率の低さを理由に、行動制限の段階的な緩和に動き出している。もっとも、一旦新規感染者の増加ペースが鈍った国でも再び加速する等、コロナ感染との共生の道は不確実性が高い。
◆また、インフレ圧力の高まりを受けて、BOEやFRBが金融引き締めの方向に舵を切り、世界的に金利が上昇している。企業や政府等資金の借り手にとっては返済コストの増加につながろう。ECBは、コロナ禍対応での緊急措置の終了は公表済みだが、利上げ等には慎重な姿勢を維持しており、他の中央銀行とは一線を画している。ECBの目論見通りにインフレ率が鈍化していくか引き続き注目される。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
欧州経済見通し トランプリスク再来
追加関税で対米貿易摩擦懸念が再燃/欧州経済中期見通し
2026年01月21日
-
2026年の欧州経済見通し
不確実性低下、財政拡張で景気回復ペースは再加速へ
2025年12月23日
-
欧州経済見通し 成長再加速の兆し
景気の下振れリスク緩和でECBの追加利下げ観測は後退
2025年11月25日
最新のレポート・コラム
-
直近のMBOによる株式非公開化トレンド
事例比較による公正性担保措置の実務ポイント
2026年01月27日
-
大和のセキュリティトークンナビ 第3回 不動産セキュリティトークンとは?(後半)
不動産セキュリティトークンの発行・流通動向、税制
2026年01月26日
-
大和のクリプトナビ No.6 暗号資産制度WG報告と今後の注目点
業界再編や自主規制機関の体制整備、オンラインでの適合性確保に向けた議論が注目点か
2026年01月26日
-
米国アセット・ウェルスマネジメント業界のダイナミズム
~変革を生み出すイノベーションとは~『大和総研調査季報』2026年新春号(Vol.61)掲載
2026年01月26日
-
消費税率の引き下げは本当に低所得世帯支援に最適な政策なのか
2026年01月26日
よく読まれているリサーチレポート
-
中国によるレアアース・レアメタルの輸出規制は日本の実質GDPを1.3~3.2%下押し
供給制約により、自動車産業を中心に生産活動の低迷が懸念される
2025年12月05日
-
2026年の日本経済見通し
1%弱のプラス成長を見込むも外需下振れや円急落、金利高等に注意
2025年12月23日
-
生成AIが描く日本の職業の明暗とその対応策
~AIと職業情報を活用した独自のビッグデータ分析~『大和総研調査季報』2024年春季号(Vol.54)掲載
2024年04月25日
-
中国経済:2025年の回顧と2026年の見通し
不動産不況の継続と消費財購入補助金政策の反動で景気減速へ
2025年12月23日
-
高市政権の財政政策は更なる円安を招くのか
財政支出の拡大ショックは翌年の円安に繋がる
2025年12月18日
中国によるレアアース・レアメタルの輸出規制は日本の実質GDPを1.3~3.2%下押し
供給制約により、自動車産業を中心に生産活動の低迷が懸念される
2025年12月05日
2026年の日本経済見通し
1%弱のプラス成長を見込むも外需下振れや円急落、金利高等に注意
2025年12月23日
生成AIが描く日本の職業の明暗とその対応策
~AIと職業情報を活用した独自のビッグデータ分析~『大和総研調査季報』2024年春季号(Vol.54)掲載
2024年04月25日
中国経済:2025年の回顧と2026年の見通し
不動産不況の継続と消費財購入補助金政策の反動で景気減速へ
2025年12月23日
高市政権の財政政策は更なる円安を招くのか
財政支出の拡大ショックは翌年の円安に繋がる
2025年12月18日

