サマリー
◆ユーロ圏の2021年4-6月期の実質GDP成長率(速報値)は前期比+2.0%(年率換算+8.3%)となり、3四半期ぶりのプラス成長に転じた。事前の予想よりも強い数字であり、過去2四半期の落ち込みを補うのに十分なプラス成長である。
◆新型コロナウイルス(以下、コロナ)の新規感染者の減少やワクチン接種の進展を受けて、4月末頃より欧州各国が行動制限措置の緩和そして解除に動き、6月末には多くの国が制限を残しながらも経済活動の正常化を進めた。この結果、人々が外出・消費行動を積極化させ、個人消費主導の景気回復となっている。
◆4-6月期の1四半期に限ると、ユーロ圏は米国や中国を上回る高成長を記録した。もっとも、米国が4四半期連続のプラス成長でコロナ禍前の水準を上回ったのに対して、ユーロ圏はコロナ禍前の水準を3.0%下回ったままであり、依然として経済正常化の道は半ばといえよう。ユーロ圏の約3割を占めるドイツの回復が鈍い点も気がかりだ。今後の焦点は、いつコロナ禍前の水準を回復するかというタイミングになるが、供給サイドのボトルネックやコロナ感染の推移等の要因が左右しよう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
1-3月期ユーロ圏GDP 成長ペースは再加速
市場予想を上回る良好な結果、ただし先行きは減速へ
2025年05月01日
-
欧州経済見通し 相互関税で悲観が広がる
対米輸出の低迷に加え、対中輸出減・輸入増も懸念材料
2025年04月23日
-
欧州経済見通し 「トランプ」が欧州連帯を促す
貿易摩擦激化の可能性が高まる一方、国防費の増加議論が急展開
2025年03月21日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
-
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
-
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日
「相互関税」による日本の実質GDPへの影響は最大で▲1.8%
日本に対する相互関税率は24%と想定外に高い水準
2025年04月03日
「相互関税」を受け、日米欧中の経済見通しを下方修正
2025年の実質GDP成長率見通しを0.4~0.6%pt引き下げ
2025年04月04日
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
日本経済見通し:2025年3月
トランプ関税で不確実性高まる中、25年の春闘賃上げ率は前年超えへ
2025年03月24日