サマリー
◆2020年10-12月期のユーロ圏経済は市場予想ほど悪化せず、英国経済はプラス成長を維持した。ユーロ圏・英国ともに2020年全体では、各国政府や国際機関の見通しよりもマイルドな減少にとどまった。だが、2021年は出だしから躓いており、いずれも2021年1-3月期はマイナス成長になる公算が大きい。
◆引き続き、欧州の多くの国で厳しい行動制限措置が実施されているが、新規感染者・死亡者数の増加ペースは鈍化傾向にあり、ロックダウンの効果が徐々に表れてきている。国によってスピードに濃淡はあるものの、ワクチン接種が着実に進展していることは、遠くを照らす希望の灯りとなりつつある。もっとも、供給制約の問題から、EUのワクチン接種計画に遅れが生じている。ロックダウンを繰り返したくない各国の慎重な対応と相まって、本格的な規制緩和はずれ込むだろう。欧州委員会の見通しでも、緩和の開始は4-6月期の想定だ。
◆英国は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種競争において、EU諸国よりも大きく先行している。感染抑制の進展により、2ヵ月近くに及ぶ3度目のロックダウンも、段階的な緩和の話ができるようになっている。イングランド銀行(中央銀行)は、4-6月期以降の急回復を見込み、年末頃にはコロナ危機前の水準を回復すると予想する。果たして、そう問屋が卸してくれるだろうか。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
1-3月期ユーロ圏GDP 成長ペースは再加速
市場予想を上回る良好な結果、ただし先行きは減速へ
2025年05月01日
-
欧州経済見通し 相互関税で悲観が広がる
対米輸出の低迷に加え、対中輸出減・輸入増も懸念材料
2025年04月23日
-
欧州経済見通し 「トランプ」が欧州連帯を促す
貿易摩擦激化の可能性が高まる一方、国防費の増加議論が急展開
2025年03月21日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日