サマリー
◆離脱協定の一部を英国閣僚が無効にすることを可能とする条項を含む国内市場法案を提出したジョンソン政府の姿勢に、アイルランド系の出自を非常に誇りにしているバイデン次期大統領は警戒を隠さない。11月9日、英国上院は当該条項を国内市場法案から排除するかどうかを巡る採決を行い、賛成票433対反対票165と、ここ数年における最大票差で英国政府の敗北となった。それでも、ジョンソン首相は一歩も引く様子を見せず、12月上旬に同法案が下院に戻ってきた際に、それまでにEUとの将来的な関係性を巡る協定が妥結されていない限り、同法案の可決に向けてまい進するとともに、上院での採決を覆す意向を示している。
◆英国政府によれば、漁業権や公平な競争条件に関する未解決事項が解消するかどうか不透明という。ただ、これらの主要争点を除き、約1,800ページの協定草案はほぼ完成している。しかし、合意文書の精査や翻訳などに必要な日数も考慮すると、合意したとしても、欧州議会に提出されるまでには数週間はかかるとみられている。そのため現実的には、11月23日~26日の欧州議会本会議で協定草案を批准する作業に取り掛かることは難しく、12月14日~17日の欧州議会本会議まで協定批准を引き延ばす可能性を検討している。ただ交渉がさらに長引けば、それ以降の週に臨時本会議を開催することも検討される可能性があるという。
◆ワクチン開発の年内承認が報道されているものの、ロンドンを擁するイングランドは11月5日から2度目のロックダウンに突入し、開始から10日以上にたってもコロナでの入院患者や死者数は上昇の一途を辿っている。英国におけるコロナ新規入院患者数は、1,500人に達し、春のピーク時に迫る勢いである。ICUのベッド利用者に占めるコロナ患者の割合も春のピーク時(73%)にはまだ及ばないものの、11月に入り既に30%を超えるなど確実に上昇している。ジョンソン政府は当初クリスマスまでには3段階の制限措置(Tier)に戻し、全国的なロックダウンの延長は回避する方向であったが、ここ数週間での急速な入院患者者数の増加によって(ロックダウン延長に)方針転換する可能性が高まっている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
欧州経済見通し 財政拡張の効果が拡大
ドイツ製造業受注が急増し、製造業の景況感も改善
2026年02月24日
-
10-12月期ユーロ圏GDP 内需主導で成長加速
主要国が揃ってプラス成長、市場予想から上振れ
2026年02月02日
-
欧州経済見通し トランプリスク再来
追加関税で対米貿易摩擦懸念が再燃/欧州経済中期見通し
2026年01月21日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
-
理系進路選択に対する男女差の要因分析
女性の理系人材を増やすには、より早期段階での介入や対応が必要
2026年02月06日
-
2026年の東証改革の方針
上場会社の質の向上と新陳代謝を促進する市場機能の強化
2026年02月02日
-
高市政権の財政政策は更なる円安を招くのか
財政支出の拡大ショックは翌年の円安に繋がる
2025年12月18日
-
第228回日本経済予測
第2次高市政権の重点政策、どう進めるか①外国人労働者受け入れ、②消費減税/成長・危機管理投資、を検証
2026年02月20日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
理系進路選択に対する男女差の要因分析
女性の理系人材を増やすには、より早期段階での介入や対応が必要
2026年02月06日
2026年の東証改革の方針
上場会社の質の向上と新陳代謝を促進する市場機能の強化
2026年02月02日
高市政権の財政政策は更なる円安を招くのか
財政支出の拡大ショックは翌年の円安に繋がる
2025年12月18日
第228回日本経済予測
第2次高市政権の重点政策、どう進めるか①外国人労働者受け入れ、②消費減税/成長・危機管理投資、を検証
2026年02月20日

