サマリー
コロナ危機への対応策として、EU 27 カ国首脳は7月に7,500 億ユーロのEU復興基金(NGEU)の創設で合意した。打撃が深刻な加盟国に重点を置いた資金の配分もさることながら、NGEUの原資を確保するためにEUが主体となって債券を発行することが画期的である。高格付けが見込まれるEU債は投資家にとっても魅力的で、早くもユーロ圏の長期金利のベンチマークになるとの期待もある。一方で、NGEUの資金を各国が有効活用し、経済復興や成長力強化に貢献したかといった成果を判定できるまでに数年を要すると予想される。
NGEU創設とEU債発行による資金調達は、EUの「財政統合」の重要な布石になると指摘される。EUは経済通貨同盟(EMU)の完成には財政統合を進める必要があると考え、加盟国に対する財政規律の導入などを進めてきた。NGEU創設により、危機に際して加盟国を支援する仕組みが構築されるが、現在のところこれは1回限りの措置である。財政統合の推進には、今後詳細が詰められるNGEUの資金活用に関するガバナンスの仕組みが非常に重要になると考えられる。

大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
4-6月期ユーロ圏GDP 原油高でも底堅く成長
実質GDP成長率は前期比+0.4%と市場予想から上振れ
2026年07月31日
-
欧州経済見通し 中東情勢に一喜一憂
ECBの追加利上げの可能性が高まる/英国ではバーナム政権が始動
2026年07月28日
-
欧州における防衛費増加の進捗と展望
~競争力強化との両立に向けた課題~『大和総研調査季報』2026年夏季号(Vol.63)掲載
2026年07月27日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
26年度最低賃金改定のポイント①
高市政権はより緩慢な引上げを容認/改定内容への説明責任が焦点
2026年07月09日
-
中国経済見通し:成長率目標に早くも黄信号
12.5%追加関税の影響は限定的だが、内需が急減速
2026年07月28日
-
令和9年度介護報酬改定に向けた注目点
改革工程に掲げられた重要論点の具体化が求められる
2026年06月29日
-
26年度最低賃金改定のポイント②
全国加重平均は1,160円台(4%前後の引き上げ)に着地か
2026年07月21日
-
骨太方針のポイント① ~危機管理投資・成長投資で高成長を実現できるか
米国を上回る生産性向上ペースが必要で成長戦略の進捗管理も課題
2026年07月13日
26年度最低賃金改定のポイント①
高市政権はより緩慢な引上げを容認/改定内容への説明責任が焦点
2026年07月09日
中国経済見通し:成長率目標に早くも黄信号
12.5%追加関税の影響は限定的だが、内需が急減速
2026年07月28日
令和9年度介護報酬改定に向けた注目点
改革工程に掲げられた重要論点の具体化が求められる
2026年06月29日
26年度最低賃金改定のポイント②
全国加重平均は1,160円台(4%前後の引き上げ)に着地か
2026年07月21日
骨太方針のポイント① ~危機管理投資・成長投資で高成長を実現できるか
米国を上回る生産性向上ペースが必要で成長戦略の進捗管理も課題
2026年07月13日

