サマリー
◆ユーロ圏では景気減速とインフレ率低下が進行中で、ECB(欧州中央銀行)は9月の理事会で利下げに加え、資産買取プログラムの再開を発表する可能性が高まったと考える。4-6月期のGDP成長率は前期比+0.2%となり、1-3月期の同+0.4%から減速した。また、7月の消費者物価上昇率は2016年11月以来となる前年比+1.0%に低下した。主要加盟国の中でドイツ景気の弱さが目立つ。4-6月期の成長率は前期比-0.1%とマイナス成長に陥ったが、外需の見通しが晴れない中で7月以降も景況感悪化に歯止めがかからず、2四半期連続のマイナス成長が懸念されている。この状況下で、ドイツ政府がようやく重い腰を上げ、財政を活用した景気刺激策を講じる可能性が出てきた。
◆英国の4-6月期のGDP成長率は前期比-0.2%となり、1-3月期の同+0.5%から一気に落ち込んだ。当初のBrexit期限であった3月29日をにらんだ在庫積み増しの反動が出たためで、個人消費は同+0.5%と堅調な伸びを続けている。7月の消費者信頼感は明確に改善しており、7-9月期にはプラス成長に戻ると予想する。ただし、Brexitに関する不透明感が薄れたわけではない。7月24日に就任したジョンソン首相は、EUとの再交渉は重視せず、「合意がなくても10月31日にEUから離脱する」という党首選での主張をそのまま遂行することに重きを置いているように見受けられる。
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