スウェーデンの介護政策と高齢者住宅

~岐路に立たされる高福祉国~『大和総研調査季報』 2016年新春号(Vol.21)掲載

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2016年03月01日

サマリー

本稿は、2015年11月にスウェーデン高齢者住宅を視察した報告である。


スウェーデンの介護政策は従来、機能別に分かれていた高齢者施設を「特別な住居」に統合し、高齢者の「住居」と認識することで在宅主義を進めてきた。さらに、ランスティングとコミューンで高齢者向けの医療と介護の責任を明確化し、社会的入院を削減させている。一部の医療を任されている看護師やアンダーナースといった人材の有効な活用も、医療費抑制に影響しているようだ。


しかしながら高齢化に伴い、介護資源が高齢者に、十分に分配されていない状況が指摘されつつある。そこで、高コストな「特別な住居」に至る前の住居形態を強化することで、費用の増加を抑制しつつ必要なケアを提供する仕組みが整備され始めている。また、近年、利用者負担のサービスや家族介護など公的福祉に頼らないケアも増加傾向にある。


高福祉国の介護が、今後も移民を取り込みながら維持されていくのか、公的な部分を縮小させていくのか、岐路に立たされているようにみえる。


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